「脱サラしたプロ棋士」1年半で見た"棋界のリアル" 小山怜央四段が直面した、厳しさと凄みの日々

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「昨年、藤本渚五段と対戦したのですが、少しでも隙をみせれば一気に持って行かれてしまう感じでした。若手のエリートの強さを肌で感じたのは確かです。藤本五段や最近プロになった吉池隆真四段は、藤井聡太七冠の次の世代という印象です。ついにこの世代が来たのかという気持ちがしました」

小山怜央
(筆者撮影)

「藤井聡太さんを倒してください!」

30歳の遅咲きの棋士が歩む道は、これからも険しいかもしれない。今の将棋界で、自分の立ち位置をどのようにとらえているのだろうか? ライバルや年下のタイトルホルダーたちへの率直な気持ちを聞いた。

「同世代はすでにキャリアを積んでいる人が多いので、先をいく存在という感じです。誰かと競い合うよりも、自分の中で目標とした勝ち数を目指したい。

藤井七冠や伊藤匠叡王(2人とも22歳)は、もう雲の上のような存在になってしまっていますから。近づいていきたいですけど、現実的な目標を1つずつクリアしていくしかないと思います。   

自分は岩手で唯一の棋士として、地元に呼んでいただき、たくさんの声援をもらえています。その自覚を持って、故郷の力にもなっていきたい」

昨年秋に『岩手将棋まつり』が開かれ、小山は子どもたちに指導対局を行った。真剣に盤上を見つめる姿に、 小山はかつての自分を重ねていた。彼らの中にも、将来プロになりたいと思っている子がいるかもしれない。

いつか岩手から新しい棋士が生まれたらーー。

そんな未来を想像すると嬉しくなった。

集まった子どもたちにとって、小山は憧れの存在だ。

「藤井聡太さんを倒してください!」

輝ける瞳に、ヒーローは少し照れながら答えた。

「はい。頑張ります」

【写真を見る】対局中とは別人のような「小山怜央四段の素顔」(7枚)
野澤 亘伸 カメラマン/『師弟~棋士たち魂の伝承』著者

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のざわ ひろのぶ / Hironobu Nozawa

1968年栃木県生まれ。上智大学法学部法律学校卒業。1993年より写真週刊誌『FLASH』の専属カメラマンとして活動を開始。主に事件報道、スポーツ、芸能などを取材、撮影。同誌の年間スクープ賞を3度受賞。フリーとしてタレント写真集や雑誌表紙を多数撮影。小学生の頃からの将棋ファンで、著書『師弟 棋士たち魂の伝承』(2018年、光文社)と『少年時代に交わした二つの約束』(2019年、将棋世界)で第31回将棋ペンクラブ大賞を受賞した。ほかに海外取材をまとめた『この世界を知るための大事な質問』(2020年、宝島社)などがある。

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