ならば大学は、実施時期の早い大学入学共通テストを活用すればよいのではないかと考えるかもしれないが、大学入試センターから大学に共通テストの成績が提供されるには時間がかかる。個別試験を2月1日に実施するよりも合格発表は遅くなる可能性があるのだ。
いずれも文科省が整理できていない部分である。文科省の通知が、大学側に実態を無視した「後出しジャンケン」と捉えられても仕方ないものだ。
今回の大学入試改革で文科省が出した大方針は「学力の三要素」をどの選抜方式でも審査することである。今回の通知で焦点となる「学力考査」の位置づけと、この大方針との整合性を問われることになる。特にいわゆる「年内入試」で基礎学力をいかに評価するかといった問題をいかに解決するかである。
そして、入試日程は高校の教育、さらには大学受験を控える高校生にとって大きな影響を与えるものであるがゆえに、大学側、高校側の双方が十分に協議をし、納得のいく結論を出してもらいたい。
学生募集について各大学に自由度があれば
ただ一方で、こうした大学入試にまつわる「ルール」はもっと大まかなものでよいのではないかという意見があることは付記しておきたい。
学生募集は大学経営の根幹に関わるものである。もっと自由度があれば、受験生により大きな利益をもたらすことができるのではないかといった考えだ。
今回の東洋大学のようなことが起これば、
ビジネスの世界から見れば、活動を制約するルールは少ない方がよいと考えるだろう。特に少子化で学生募集が厳しくなるのだから自由な発想でイノベーティブな受験システムができあがってもよいのではないかと考えられるからだ。
今回の件について高校側と大学側の協議がなされるだろうが、文科省の調整能力がいかに機能するか。今後の動向に注目したい。
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