「3億円当選」宝くじ売り場に並ぶ人が知らない真実 「数」だけを見て、「割合」を考えない危うさとは

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仮にみなさんが、レストランを経営しているとします。順調にお客さんが入っていたのですが、3カ月前からお客さんの数が減ってしまいました。さて、みなさんはどんな風に考えるでしょうか?「なんでだろう? うちの店が人気じゃなくなったのかな」「飽きられてしまったんじゃないかな」と考えるのが普通だと思うのですが、合理的に考えると、もっと別の考え方をした方が結果的にうまくいく場合があります。

みんなにとってプラスになる「マクロな視点」

まず、そのレストランがある地域で外食をする人の数の平均が、約1000人だとしましょう。そして、この1000人のうち、5%の人がレストランに足を運んでいたとすると、50人くらいは毎日レストランに来ていたと考えられますよね。

この50人が減ったということは、2つの可能性が考えられます。

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外食をする人の数「1000人」が減った可能性と、レストランに足を運ぶ人のパーセンテージである「5%」が減った可能性です。

まず、その地域に人気がなくなって、1000人いたお客さんが減ってしまったという可能性があります。どんな理由かはわかりませんが、その地域自体に来る人が減ってしまったのであれば、その店の人気が5%のままでも、お客さんは減ってしまいます。

そして、1000人なのが変わっていなかったとして、レストランに足を運ぶ数が減ってしまった可能性もいくつか考えられます。もちろん、そのうちの1つとして、そのレストランの評判が下がってしまった可能性もあるでしょう。

でも、例えば別のレストランが新しくできてしまって、50人のお客さんのうち20人のお客さんが新しいレストランに行ってしまったとすると、その店の人気に関係なく、お客さんは減ってしまいます。

お客さんの取り合いになってしまっているわけですね。こういう、「合計は変わらなくて、他のところと人やお金を取り合うこと」を、経済学の用語で「ゼロサムゲーム」と呼びます。「サム=合計」が「ゼロ=0」であることを示します。広い視野で見れば、合計が変わらない状態の中でゲームをしているという意味ですね。

今回はレストランを例としてお話をしましたが、別のものでも同じ話になります。例えば日本は今、人口減少が顕著であり、地方都市の多くは「ウチに移住してくれ!」と移住のための政策を掲げています。ですが、その移住政策が仮にうまくいったとしても、日本の地域全体で見ればあまりいい傾向だと言えない可能性もあるのです。

仮に新しく5組の家族が移住してくれたとしても、その5組が、同じ県内にある隣町から引っ越してきたのであれば、県内の移住者の数は増えていないことになりますよね。「隣の地域から人を呼ぼう!」ではなく、「みんなで団結して、東京都や大阪府などの、多くの人が集まりすぎていて過密な状態になってきているところから人を集めなければならない」、という発想を持つことの方が、「ゼロサムゲーム」を回避できて、みんなにとってプラスなのです。こうした、広い視野で物事を考えることを、「マクロな視点」と呼びます。割合と一緒に覚えましょう。

西岡 壱誠 現役東大生・ドラゴン桜2編集担当

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にしおか いっせい / Issei Nishioka

1996年生まれ。偏差値35から東大を目指すも、現役・一浪と、2年連続で不合格。崖っぷちの状況で開発した「独学術」で偏差値70、東大模試で全国4位になり、東大合格を果たす。

そのノウハウを全国の学生や学校の教師たちに伝えるため、2020年に株式会社カルペ・ディエムを設立。全国の高校で高校生に思考法・勉強法を教えているほか、教師には指導法のコンサルティングを行っている。また、YouTubeチャンネル「スマホ学園」を運営、約1万人の登録者に勉強の楽しさを伝えている。

著書『東大読書』『東大作文』『東大思考』『東大独学』(いずれも東洋経済新報社)はシリーズ累計40万部のベストセラーになった。

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