転身して稼げる農家になるのにまず見るべき数字 農業での成功には一定の投資は欠かせない
私の知り合いであり数億円をかけてピーマン栽培施設の投資を行った農業生産法人の代表は、投資に対してかなり前向きです。投資をすればその分、利益が増えていくと言います。
「まずは、経営面で月次決算しています。税理士が来て、毎月締めていきます。ハウスごとの経費も月次で出していきます。そこで数字がきちんと出てくると、どこで何を改善すればいいのかがわかってきますよね。あるいは、課題を分解すれば分解するほどやるべきことが明確になるので、それを最低でもハウス単位・月単位でやっています」
「今、資材費の高騰により、ハウス建設費用が高くなっているとよく言われます。しかし、これは面積あたりで計算した場合に以前より高くなっている話です。生産量に対する製造原価で考えると、建設費用の見え方が変わってきます。
たとえば、古い性能のハウスでは収穫量が20トンだったものが、新しい性能のハウスで25トン収穫できるようになれば、製造原価が安くなる可能性があります。また、新しい性能のハウスでは、必要な労働力が従来の8割で済むとか、ランニングコストも安くなる可能性もあります。このように計算して投資しています。そのため、補助金の申請も通りやすく、融資も問題なく受けられます」
投資以上の利益を確保し続ける
「投資計画を立てるには、自分のデータをしっかりと持っていることが前提になります。過去のデータと投資した結果のデータを自分の実績ベースで持っていることで、説得力のある計画を立てることができるし、それが成功する根拠になります。これは、他人のデータだと難しいかもしれません」
このように投資を回収することができる農家は、数字を見て投資の判断をしています。そして、投資した分を回収することができるので、また新しい投資ができるというよいサイクルになります。
一方で、投資に失敗して、次の投資ができない農家もいます。つまり、投資額を超える利益が出せない農家です。無理な計画だったのか、計画時点では問題なかったが、その後の農業生産や販売、人員配置などがうまくいかなかったのか、その理由が明確でない方が多いようです。
投資の問題点が明確でないために、何を改善すればよいのかもわかりません。これは、農業経営を数字で捉えず、感覚だけで経営していることが原因です。
さらに、現在の農業生産で手一杯で、経営状態が芳しくないため、投資ができない農家もいます。その場合、機械や設備が老朽化し、生産性が落ちるため、さらに儲からなくなるという負のサイクルに陥ってしまいます。これを打破するには、今回紹介した農家のように農業生産と経営を数字で捉え、問題点を明確にして改善していく必要があります。
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