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レーニン「前衛党」の思想がプーチンに続いている エリートたちが大衆世論を政権に近づけようとしている

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  • 佐藤 優 作家・元外務省主任分析官

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ロシアのプーチン大統領は共産主義を嫌う。私有財産を否定するのは人間の本性に反すると考えるからだ。同時に人間は性悪な存在であるので、その恣意を国家の力によって抑えつけなくてはならないと考える。国家の力で正義を実現すべきだとプーチン氏は考える。これはレーニンやスターリンの国家観に親和的だ。

権力者が重視した全一的世界観

正義を実現するのが国家であるという点においてソ連と現在のロシアは連続している。

ボリシェヴィズムは強力な中央集権国家を目ざしている。社会正義への意志と国家権力への意志とが統合をなしとげたわけだが、その権力意志の方が強い。ボリシェヴィズムは高度に軍国化された勢力として、ロシアの国民生活のなかへ入りこんだ。旧ロシア国家もまたつねに軍国化されていた。(ベルジャーエフ〈田中西二郎/新谷敬三郎訳〉『ベルジャーエフ著作集 第7巻 ロシア共産主義の歴史と意味』白水社、1960年、168ページ)

ベルジャーエフは、レーニン主義の本質が「世界観の独裁」にあるという見方を示す。これは、真理を独占していると考えるカトリック教会の発想に近い。カトリック教会はユダヤ教徒、イスラム教徒とは平和的に共存できるのに、カトリック教会内の分派にはカタリ派、ワルドー派、フス派などのレッテルを貼って弾圧した。

ソ連体制下でも、ロシア正教会やプロテスタントの諸教会(バプテスト派、ペンテコステ派、メノナイト派)、チベット仏教などは生き残ることができた。しかし共産党から派生したトロツキー派は弾圧された。世界観の全体主義は、国家の中枢である共産党において最も厳しく適用されるのである。

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