食生活について、私はある時期までは、女性は心配ないと思っていました。自分で調理ができれば、健康で長生きできる可能性が高いからです。
ところが平均寿命が延びて、90代まで生きるとなると話は違います。
足はふらふら、膝や腰は痛い、腕は上がらない、頭は働かない。そんな状態では、調理など無理というものです。
高齢女性の多くは、家庭のなかで家事・育児を担ってきたので、料理がまったくできない人はあまりいないでしょう。
夫は1人の外食に抵抗がなく、問題ない
一方、現在50代から上の男性は、学校教育の場でも家庭科を学ぶ機会が少なく、成人してからも料理とは無縁で生きてきた人が少なくありません。勤め人であれば、仕事の合間に1人で分相応の店に入り、昼食をとるのが普通だったでしょう。
ですから、高齢になって、妻が食事を作らなくなったらさぞや困るだろうと思いきや、夫は1人で外食するのに抵抗がなく、問題ないのです。
それに比べ、私と同年代くらいの女性は、1人で飲食店に入れない人がたくさんいます。調理を怠けているという罪悪感があるのと、そもそも店に入り慣れていないのです。しかし、調理定年後のことを考えれば、外食にも慣れておかなくてはなりません。
1人外食のハードルが高いようなら、地域の「シルバー食堂」に行く、という手もあります。
シルバー食堂とは、基本的には65歳以上の高齢者のために食事を提供することを目的とした、各自治体やNPO法人、地域の老人クラブなどが運営している食堂です。1人暮らしや障害があるために自分で食事が準備できない人が気軽に訪れることができ、食事をしながら地域の人たちと交流できる場となっています。
名称は「シルバー食堂」のほかに、「ふれあい食堂」「みんなの食堂」などさまざまですが、近くにあれば、一度見学に行ってみたらどうでしょう。また、「子ども食堂」のなかには、高齢者が参加できるところもあります。そんな「外食」で、1人外食に慣れるのもいいかもしれません。
家の周りに飲食店がなくても、駅のほうまで歩くなり、バスに乗るなりして出かけてみれば、1人で入れるお手頃価格の店はたくさんあります。そこで、気に入ったものを選び、ゆっくりくつろいでおいしく食べれば、栄養もしっかり摂れそうです。
飲食店に行くために、歩いたりバスに乗ったりするのも、いい運動になります。
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