――中間層の人々は、トランプが没落した自分たちの生活を良くすると考えているのですか。
正直なところ、それはわからない。確かなのは、今回初めて民主党よりも共和党のほうが貧困層の支持を集めたということだ。これはつまり、民主党が労働者階級の支持を失いつつある、あるいはすでに失ったことを意味する。中間層や労働者階級の人々は、上層階級の人々が自分たちのニーズを無視していると感じている。
――格差拡大に伴うアメリカの金権政治化を危惧されていますね。
アメリカのトップ3%に入る人々は労働所得と資本所得の両方で稼ぎが多い。これは資本主義において新しい現象だ。
例えば、カール・マルクスに「資本主義が進化して、最上層の人々が非常に高い労働所得と資本所得を得るようになると思うか」と尋ねたら、「それはほぼ不可能だ」と答えていただろう。伝統的な資本主義では、富裕層の多くは主に資本所得のみに依存していた。
この新しい上層階級は、2つの所得源があるため、安定的立場にいる。中でも労働所得は資本所得と異なり、能力主義的な成功の捉え方に結びつきやすい。労働所得の高い富裕層は自分が成功した理由を「自分の知性や努力のおかげ」と信じたがる傾向がある。この能力主義的な傾向が勝者と敗者の間の共感を低下させている。
彼らは中間層に関心をもたず、高い教育費とコネを通じて、次世代にその地位を引き継がせる。このような「新たな貴族制」は中間層の不満を理解するうえで重要だ。
「資本」と「教育」の両方を持つ人々と、それを持たない人々との間の溝がさらに広がっている。より高度な教育を受けた専門職・管理職階級が中道左派政党を支持し、労働者階級が中道左派政党を支持しなくなっている。
格差を解消するために必要なこと
――実際、トランプの政策は格差の解消につながるのでしょうか。
トランプ氏の政策は格差の解消を目指しているわけではない。彼の保護主義的な政策が中間層の地位を改善する可能性はあるが、格差を減らすための政策として私が望ましいと考えるものとは正反対だ。
格差を解消するには、まず教育をもっと公共的なものにすることが重要だ。次に、税制をより累進的にすること。3つ目に、資本所得に対する税を、少なくとも労働所得に対する税と同等か、それ以上に高くすること。そして4つ目に、相続税を強化することだ。
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