伊藤忠が狙う「アニメ・IPで1000億円」構想の衝撃 ついに本気!「おぱんちゅうさぎ」アジア展開も
10月5日、計8巻で累計部数350万部を突破し、数々の漫画賞を受賞した人気漫画「チ。 ―地球の運動について―」のアニメ放送・配信が始まった。今クールにおいて注目の1作となる本作品、実はその製作委員会で取りまとめ役の「幹事会社」を務めるスカパー・ピクチャーズは、スカパーJSATが4月に設立し、伊藤忠も出資者に名を連ねたばかりの合弁会社だ。
ネットフリックスやアマゾンといった動画配信サービスのプレーヤーに需要を食われてきたスカパー。ここ数年は事業改革に向けて、スカパー以外のプラットフォームでも視聴され、世界で戦える強力なアニメ作品の製作を模索してきた。
合弁会社の設立前に「チ。」のアニメ化の許諾こそ勝ち取れたものの、ヒット見込みが高い原作の多くはソニーグループ傘下のアニプレックスや東宝に許諾が集中する状況が続き、スカパー単独での挑戦に限界を感じつつあった。
そんな中、海外の商流に強みを持つ伊藤忠がIPビジネスに注力し始めたことを知り、スカパー側から協業を打診。スカパーJSATが約8割、伊藤忠が約2割と出資比率ではマイノリティーだが、アニメ製作への関心も大きかった伊藤忠にとっては渡りに船となった。
エンタメ・IPビジネスで苦い過去
近年、アニメ・IPビジネスの活況は注目を集めており、ゲーム会社をはじめとしたエンタメ・メディア業界内での事業強化や参入の動きは頻発している。では、伊藤忠のような畑違いのプレーヤーでここまで入れ込むケースがあるかというと、一転して珍しい事例だろう。
実は伊藤忠、この領域でまったくの門外漢というわけでもない。1998年に「君の名は。」などで知られるアニメ会社、コミックス・ウェーブ・フィルムの前身となった企業を合弁で設立し、「仮面ライダー」や「サイボーグ009」で知られる石森プロのライツビジネスも担ってきた。
しかし、2000年代初頭に積極化した映画の製作委員会への出資については、映像を世界展開するというハードルの高さから、投資回収のリスクを鑑みて中断するなど、エンタメ・IPビジネスでスケールしきれなかった苦い過去を持つ。
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