給食から「揚げパン」が消滅?業者「撤退」の背景 給食費無償化の影響と厳しすぎる「縛り」に悲鳴
学校給食のパンの提供の中止が全国各地で相次いでいる。給食の大スター、揚げパンは献立から消えてしまうのか。
「揚げパン」発祥の小学校では
今日は、待ちに待った「揚げパンの日」だ。4時間目の終わりを告げるチャイムが鳴ると、かっぽう着姿の給食当番が鍋や食器の入ったかごを運んできた。メニューはカレーポトフ、揚げパン、ミカン、牛乳。配膳台の前に並び、盛りつけてもらう。
「みんな、揚げパンは好きかな?」
記者が尋ねると、東京都大田区立嶺町小学校の子どもたちは「はーい」と、いっせいに手を挙げた。揚げパンが好きな理由をこう教えてくれた。
「甘さとパンが絶妙にマッチしている」「中が柔らかくて、外が硬い、食感が好き」「砂糖、きな粉、シナモンと、味が選べるのがいい」「大きいから食べ応えがある」
揚げパンは1952(昭和27)年ごろ、同小で初めて作られ、全国に広まったといわれる。栄養士によると、「新しい油を使い、高い温度でサッと揚げるのがおいしい揚げパンを作るコツです」。
そんな話を聞くと、油になじんだ砂糖をまとったパンの甘い香りとともに、懐かしい思い出がよみがえってくる。揚げパンに限らず、今の子どもたちはパンが好きで、残食は米飯より少ないという。
ところが、いま、給食のパンがピンチだ。各地でパンの提供中止が相次いでいる。