1日20万本の「うなぎパイ」が作られる圧巻の光景 生地は手作り!師範制度で技術を継承していく
一般的に工場見学は、地域貢献や会社の広報的な意味合いが強く、利益を稼ぐのが難しい。一方でうなぎパイファクトリーでは、工場見学のほか、カフェや売店なども併設。これらを通して、年間5億~6億円の売り上げを稼ぎ、黒字化できているという。
観光バス会社への営業もかけず、商品のネームバリューや、地域の人々の口コミで、想定以上の来場者数に恵まれた。いまでは産業観光施設としても注目を浴びるようになっている。
うなぎパイファクトリーで見ることができるのは、生産工程の一部。今回の取材では、うなぎパイ生産の意外な話も教えてもらった。
それは冒頭でも述べたように、うなぎパイの生地が職人による手作りである、という点だ。生地作りは、見学通路の壁の裏側で行われている。その様子は非公開。うなぎパイ職人の手で、その日の気温や湿度によって、生地の伸ばし方や焼成温度を調節しながら生地が作られている。
50人ものうなぎパイ職人がいる
実は、春華堂には50人ものうなぎパイ職人がいる。うなぎパイの生産技術を次の世代に着実に継承していくために、専務の間宮純也さんが中心となって、2014年から師範制度を導入。ガイドラインの作成や階級区分、人材の育成方法など検討を重ねて、現在の師範制度を確立させた。
「黙々と生地を作る職人たちの姿を初めて見たとき、この人たちの存在をもっと世の中に知ってほしいと思いました。もちろん、手作りは手間ひまかかるけれども、この職人技術は、残していくべきだと感じました」(間宮さん)
師範はたった1人。初代師範が高齢のため、今年の春には2代目に初めて交代することになった。2代目に就任したのが、清瀧貴之さんだ。ちなみに清瀧さんの父も同じくうなぎパイ職人で、父の後を追うように清瀧さんもうなぎパイ職人になった。
うなぎパイのサクサクした食感は、生地の層と油脂の層をバランスよく重ねることで生まれる。生地に練り込む砂糖の量も、生地の状態に合わせて手の感覚で調整している。
「生地作りはとても難しく、ひと通りできるようになるだけでも3カ月はかかります。さらに細かな技術も含めると、完全に習得するまでに3~5年はかかります」(清瀧さん)
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