大統領選を左右するアメリカ「労働組合の現在地」 組織率が低下するも、その影響力は侮れない

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――労働組合でも共和党を支持しているところはあるのでしょうか?

松井氏 労働組合のリーダーレベルでいうと、ほぼ民主党であるといえます。組合の献金ですとか、ロビー活動や、人とのつながりでいうと圧倒的に民主党です。

しかし、組合の中に目を向けると、労働組合は政治団体ではないので、政治目的で参加した人ばかりではありません。ですから、一般的な労働組合員でみると、共和党支持、トランプ支持も一定数存在していることは確かです。

その人たちが組合に加盟したのは、民主党を支持しているからではなく、職場における利益代表という側面で加入していますし、中にはユニオンシップ(全員加盟の組合)だから強制的に加入させられている人もいます。

一般的な組合員すべてがリベラルなわけではない

労働組合の指導者たちも基本的に民主党支持ですが、完全にフリーハンドではありません。特に運輸労働組合(チームスターズ)のように業種によっては、保守的な組合員も多くいるところもあります。

そういうところでは、指導部も民主党に全振りすると、組合員からそっぽを向かれる可能性もあり、民主党一辺倒とはいきません。

また、どのような分野を中心に組織している労働組合なのかによっても多少の違いがあります。教員や公共部門などはリベラル色が強いですが、運輸労働組合や法執行などは相対的に保守寄りです。

共和党は、労働組合内の保守的で一般的な労働者が、組合を切り崩す足掛かりになるということで、組合と労働者は違うということを強くアピールします。

「労働組合(指導部)は労働者の敵である」、「労働組合は組合員の言論の自由を侵害している」、「労働組合に強制されない労働者の自由がある」、「労働組合が組合費の政治的流用をしている」などといって組合からの離反を策します。

このように「組合は民主党の特殊利益団体になっているけれども、一般労働者の味方は共和党です」とアピールして、共和党の支持を訴えます。
労働組合が献金している政党は民主党ですが、一般的な組合員を見ると、すべてがリベラルではありません。

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