実際、告白という一大イベントを先送りにした3回目のデートで、健太さんはリラックスした素顔を見せることができた。スパイスが利いたカレーうどんを夢中で食べていたところ、舞子さんから「美味しいものを食べているときって無口になるよね」と言われて会心の笑みを浮かべたのだ。健太さんはそのときの心境を生真面目に明かす。
「やっぱり緊張はしていたのですが、図星だったので笑ってしまいました」
その笑顔が可愛かった、と舞子さんは振り返る。真面目で、優しくて、可愛い理系男子。好印象は高まり、次のデートでの告白を受け入れるのは自然な流れだったのだ。
いわゆる女性経験がなかった健太さんは、「舞子さんともっと仲良くなる方法」に関してもマチコ先生に相談。手をつなぐなどのスキンシップを増やしたり、泊まりがけの旅行に行ったりすることを提案してもらった。旅行に関しては舞子さんのほうから誘い、一夜を共に過ごした。
「健太さんはいろいろ緊張しているな、と思った程度です。楽しく過ごせました」
結婚の条件は「すんなり」決まった
かつての恋人とは12年間も付き合っていて結婚寸前に別れた経験がある舞子さん。謙虚さはありつつも、シンプルさ重視の生活習慣に関するこだわりは強く、外で働き続けることも結婚の条件だった。
共働きの両親に一人息子として育てられた健太さんは、結婚相手の女性がキャリアを継続することは当たり前で、むしろそれを望んでいた。完全リモート勤務の会社員である自分は住む場所に関しては相手にある程度合わせられる。
「家庭以外にも自己実現の場がある女性がいいな、と思っていました。経済的にもお互いに依存しない関係が理想ですし、私は基本的に在宅勤務なので(相手が専業主婦だと)日中もずっと一緒にいることになって息が詰まりそうです」
子どもについては不妊治療などはせず、運良く授かったら一緒に育てるという点で合意。結婚の条件が「すんなり」決まった。健太さんが舞子さんにプロポーズしようと思っていた日のことである。
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