ヒット作を量産「縦スクロールマンガ」の"舞台裏" ブームから1年、月1億円以上売り上げる作品も

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プラットフォームではピッコマ、LINEマンガ、作品でいうと『俺だけレベルアップな件』と『女神降臨』などがけん引して、読者が開拓されたあと、日本におけるウェブトゥーンブームは、この時期にウェブトゥーンスタジオの大量参入というかたちで訪れたのです。

思えば、2013年当時の中高生は、もう社会人です。読み手の側にも作り手の側にも入ってきた若い世代は、コンテンツとしてウェブトゥーンに親しんできました。その影響もあったのかもしれません。

ブームから1年あまり、国産ウェブトゥーンスタジオ勢の作品にもヒットの兆候が現われ始めました。

2024年1月、ついに国産ウェブトゥーンスタジオの一角であるナンバーナインの『神血の救世主〜0.00000001%を引き当て最強へ〜』が、月間販売額1.2億円を突破したことをプレスリリースしました。

ウェブトゥーンにおいて、月間販売額で1億円を超えるというのは、現状ではヒットのかたちとしてわかりやすい指標です。この作品はナンバーナインにとって1作目のWebtoonになります。

ではなぜ、80ものウェブトゥーンスタジオの中でナンバーナインが、これほど早くヒットといえる作品を世に送り出せたのでしょうか?

奇をてらわず、スタンダードな作品をつくる

2023年11月に、東京池袋でおこなわれたIMART(国際マンガ・アニメ祭ReiwaToshima)でのセッション「Webtoonの販売戦略~見えてきた成功の形」には、LINEマンガを運営するLINEDigitalFrontier取締役COO森啓氏、株式会社ナンバーナイン代表取締役社長小林琢磨氏、株式会社Minto取締役中川元太氏が登壇しました。司会と企画は筆者です。

このセッションの中で、2022年9月にスタートした『神血の救世主』が、ビュー数や販売額の面で、ヒットの兆しを見せ始めていることが、スタジオとプラットフォームの両者から明らかにされました。

すでに、月によっては約5000万円ほどの売り上げをあげる月もあること。それから、通常初速で大きく売り上げを上げてから、徐々に下がっていくのがウェブトゥーンの販売推移の特徴ではあったが、この作品は少しずつ売り上げを上げて積み上げて行く、日本のマンガに近い動きを示したという話が出ました。

この話の中で、ナンバーナイン小林氏から出た言葉が印象的でした。

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