中東「国土の6割が荒野」でも食料自給率が高い国 「マイム・マイム」実は"水が出た喜び"を歌う曲

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「砂漠に花を咲かせることができれば、ここに何百、何千、何百万もの人間が生きることができるだろう」

荒野だったイスラエルの地に潤いをもたらそうと奮闘した、初代首相のダヴィド・ベン=グリオンが残した言葉です。

フォークダンス・ソングとして日本で定番の『マイム・マイム』は、イスラエル人が水を見つけたときの喜びを表現した歌であり、歌詞は旧約聖書『イザヤ書』第12章3節の「あなたがたは喜びながら、救いの泉から水を汲む」という一節から引用されています。

「マイム」はヘブライ語で「水」を意味し、この曲は掘り当てた井戸のまわりで踊り、喜びをもって水に駆け寄るユダヤ人の姿を表しているのだといいます。

逆説的にいえば、『マイム・マイム』という曲が生まれるほどに、イスラエルという国には水がありませんでした。

「だったら、作ればいい」

それがこの地で永住を決意した、イスラエルという国家の精神であり、哲学でした。

イスラエルの淡水化技術、そして水再生技術は世界でも類をみない発展を遂げています。

今やイスラエルの水消費量の大半は、海水を淡水化したものです。

その技術とは、海水に含まれている塩類を除き、純水にすること。純水とは、不純物を含まないかほとんど含まない、純度の高い水のことです。

新技術の半透膜によって塩分と水を分離する方式を確立し、高品質の真水を低コストで生み出すことに成功したのです。

半透膜とは、水など成分の一部は通しますが、他の成分は通さない膜のことです。

同じように力を入れたのが水再生技術。下水の浄化率はイスラエルが83%で世界1位、2位のスペインが12%、日本が2%にも満たないことを考えると、そのすごさがわかります。

必要こそが、まさに発明の母なのです。

このほか、水道管の内部でごく小規模な発電を行い、その電力で流量をはじめとするモニタリングを行う技術、アフリカの僻村などでも安定した水供給が可能になる太陽光発電による井戸水の汲み上げシステムなど、イスラエル企業が生み出している新技術は枚挙に暇がありません。

水についての知見が経済、政治、外交といった面で大きな可能性を持つことをイスラエル政府は認識しており、同国の経済産業省は実用化に焦点を当てた技術育成や教育新興、研究助成などを果敢に進めています。

ハイテク農業で食料自給率は90%以上

イスラエルは乾燥地帯といった制約に加え、隣国との緊張関係もある中で、食料の確保は死活問題であり、それを克服するために、国をあげて独自の農業技術を開発し、不可能と思われることを可能にしてきました。

イスラエルの食料自給率は90%以上。年間降水量が平均700ミリ以下、南部では50ミリ以下という過酷な環境を考えると、驚くべきものがあります。

イスラエルの高い食料自給率を支える要因は、ハイテク農業(アグリテック)です。

水再生技術で浄化した水は、飲用には適しませんが農業には利用できます。 

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