中東「国土の6割が荒野」でも食料自給率が高い国 「マイム・マイム」実は"水が出た喜び"を歌う曲

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生きるためとはいえ、砂漠で農業を行うことは困難を極めます。

気温は高く、湿度が低いこの地では、水はすぐに蒸発し、塩分が土中に蓄積してしまいます。水の利用効率が極端に悪いのです、その状況を打破したのが、1965年に開発された点滴灌漑という技術です。プラスチック製のパイプを通して、作物を育てるのに必要な場所だけに水を届ける技術は、蒸発を抑制し、利用効率を上げます。

さらには、届く水の成分まで管理できるため、塩害対策も容易。しかも、点滴灌漑は、ますます発展を遂げています。

肥料や農薬を水に入れて効率的に散布することもできる上に、インターネット経由で、どこからでも農地の管理が可能に。

広大な農地の広がるアメリカの大規模農家でも、イスラエルのこの点滴灌漑技術の導入が進んでいます。

イスラエルのテクノロジーで管理する農業で生産された、主な農産物は、じゃがいも、トマト、ピーマン、かんきつ類、なつめやし等です。

そして、イスラエルから日本に輸出されている農産物は、グレープフルーツ・ポメロジュース、レモンジュース、オレンジジュース、生鮮・乾燥果実等のかんきつ類が上位です。

イスラエルと比べて驚くほど低い、日本の食料自給率

一方、温暖な気候、四季に恵まれ、水に不自由しない我が日本の食料自給率は2020年度で37%、2021年度で38%と、イスラエルと比べると驚くほど低い数値です。食材や食料は、日本で作るより外国から輸入した方が安いというのが理由です。

尖閣・台湾有事が起こると、台湾の南のバシー海峡の交易路が断たれます。

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輸入依存度の高い日本へ向かうタンカーをはじめ、輸送船の経路も断たれます。その中には、天然資源や食料を搭載した輸送船もあることでしょう。

それらの船はというと、安全確保のために、台湾の東の太平洋を迂回して日本に向かうことになります。

日本に無事着いたとしても、迂回した分、輸送代が高くなり、また、戦争の危害が及ぶ恐れがあり、保険代も割増しになります。それらは物価高となって市民の食卓を直撃します。食料を手に入れることのできない国民が急増する事態となります。

軍事費増とともに、食料自給率を上げる政策と努力が早急に求められています。

中川 浩一 元外交官、アラビア語の天皇通訳・総理通訳

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なかがわ こういち / Koichi Nakagawa

1969年、京都府生まれ。慶應義塾大学卒業後、1994年外務省入省。1998年〜2001年、在イスラエル日本国大使館、対パレスチナ日本政府代表事務所(ガザ)、PLOアラファト議長の通訳を務める。その後、天皇陛下、総理大臣のアラビア語通訳官(小泉総理、安倍総理〈第1次〉)や在アメリカ合衆国日本国大使館、在エジプト日本国大使館、大臣官房報道課首席事務官などを経て2020年7月、外務省退職。同年8月から国内シンクタンク主席研究員、ビジネスコンサルタント。著書に『総理通訳の外国語勉強法』(講談社)、『プーチンの戦争』『ガザ』(ともに幻冬舎)がある

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