3週間で完売「未来のレモンサワー」再販までの道 世界初レモンスライスを入れた缶チューハイ

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「これまで果肉を入れた商品はあったが、スライスそのものを入れる技術は実現が難しく、トライできていなかった」と説明するのは、商品開発において全体のコンセプト立案などを担当した、アサヒビールマーケティング本部新ブランド開発部担当課長の山田佑氏だ。

実現を困難にした「衛生管理面の問題」

アサヒビールマーケティング本部
アサヒビールマーケティング本部新ブランド開発部担当課長の山田佑氏(編集部撮影)

実現を困難にしていたのが衛生管理面の問題だという。菌や微生物を発生させず、品質を担保できるかどうかという点が、もっともハードルが高かったようだ。

それにもかかわらず、難問に挑戦することになったのは、社内に「このままでは未来がない」という共通の思いがあったからだ。

「RTD市場では多くの競合から次々に新しい味が発売され、消耗戦になっていた。目先のシェア争いでなく、当社しか実現できないことをやりたい、という思いがあった。レモンスライスが困難ではあるが、『いい未来』というゴールにつながる挑戦として共有できた」(山田佑氏)

マーケティング本部、開発部が一体となり、かつてない横連携のチームがつくられて、2021年初頭から開発がスタートした。

大きな課題であった衛生面については、レモンスライスを液糖になじませ、乾燥させるアイデアを採用してクリア。なお、缶の中でサワー液に浸かっている間にドライレモンに水分が戻り、味わう際にはみずみずしい色、食感になっている。

未来のレモンサワー
5mmの薄さにスライスしたレモンを液糖になじませたあと乾燥し、ドライフルーツの状態にして缶に充填。サワー液に浸かることで水分が戻り、みずみずしくなる。浸かっていた時間により熟成度合いが異なり、味にも変化が出てくるという。購入後しばらく冷暗所などに置いておき、飲み比べるのもおすすめ(写真:アサヒビール)

開缶すると浮き上がるのはどのような仕組みなのだろうか。

「動力は炭酸が抜ける力のみ。その力で浮き上がるスライスの厚みを追求し、結果的に5mmの厚さがベストだった」

これに、2021年発売のヒット商品「アサヒスーパードライ 生ジョッキ缶」で開発したフルオープン缶の技術を組み合わせた。開口部が大きいので、レモンスライスがしずしずと浮き上がってくる様子がよく見える。

缶の口は内側に曲げてあるので、このまま飲んでも、缶の切り口で怪我をすることはない。

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