紫式部「恥さらしと言われた宮仕え」決断した背景 道長はどう考えていた?紫式部の彰子への思い

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さて、娘・彰子が男子を出産するか否かは、道長にとっても大きな関心事でした。娘が男子を産めば、その子はいずれ天皇に、そして自らは外戚(母方の親戚)として権力を振るうことができるからです。

彰子の安産を祈る紫式部

そうした事情もあり、土御門殿では、夜明け前から、僧による祈祷が始まっていました。僧侶たちは、我も我もと声を張り上げ、祈祷する。その声は「ものものしく厳か」だったようです。

僧侶の祈祷の声を聞きつつ、紫式部も、主人・彰子の安産を心の中で、祈っていたかもしれません。

(主要参考・引用文献一覧)
・清水好子『紫式部』(岩波書店、1973)
・今井源衛『紫式部』(吉川弘文館、1985)
・朧谷寿『藤原道長』(ミネルヴァ書房、2007)
・紫式部著、山本淳子翻訳『紫式部日記』(角川学芸出版、2010)
・倉本一宏『紫式部と藤原道長』(講談社、2023)

濱田 浩一郎 歴史学者、作家、評論家

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はまだ こういちろう / Koichiro Hamada

1983年大阪生まれ、兵庫県相生市出身。2006年皇學館大学文学部卒業、2011年皇學館大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得満期退学。専門は日本中世史。兵庫県立大学内播磨学研究所研究員、姫路日ノ本短期大学講師、姫路獨協大学講師を歴任。『播磨赤松一族』(KADOKAWA)、『あの名将たちの狂気の謎』(KADOKAWA)、『北条義時』(星海社)、『家康クライシスー天下人の危機回避術ー』(ワニブックス)など著書多数
X: https://twitter.com/hamadakoichiro
 

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