中でも2008年販売のタワーの超過値上がり率は57.9%と非常に高い。リーマンショックに端を発する需要減退で売れ行きは非常に悪かったが、東京都の土地の定期借地権であるシティタワー品川、麻布十番の2つのランドマークタワーであるシティタワー麻布十番、パークコート麻布十番ザ・タワー、世田谷区の二子玉川ライズ タワー&レジデンスタワーセントラルなどの地域を代表する物件が多かった。
これを見ても、重要なのは「当時の売れ行き」ではなく、「立地(主要駅・駅近)」と「物件属性(大規模・タワー)」であることがわかる。
こうしたタワーが供給されたエリアを特定すると、1位が江東区、2位が港区、3位が中央区になり、その成約数の割合はこの3区合計で6割とかなり集中している。駅で言うと、江東区は豊洲・清澄白河、中央区は月島・勝どき、港区は湾岸エリアから内陸まで分散している。典型的なタワーマンションが林立するエリアである。
超過値上がり率のトップは千代田区
では、超過値上がり率を見ていこう。タワーは偏在するものの、値上がり幅は希少性を加味して決まってくる。超過値上がり率のトップは千代田区で53.4%、2位が港区の48.3%、3位が渋谷区の46.9%と続く。
千代田区は番町・麹町の邸宅街ではなく、飯田橋駅・秋葉原駅・御茶ノ水駅・神保町駅の希少性のあるタワーが牽引している。渋谷区は西新宿駅・恵比寿駅・渋谷駅・代官山駅の近くに多い。
4位の中央区36.2%に肉薄するのは、5位台東区で35.2%。秋葉原駅・上野駅・浅草駅・浅草橋駅のピン立地なら、都心3区と並ぶ値上がりとなっている。
6位は文京区の33.1%で春日駅や茗荷谷駅、7位は新宿区31.9%で西新宿、神楽坂、四谷アドレスに多い。
8位は墨田区29.8%で錦糸町駅・曳舟駅に集まっている。9位世田谷区27.4%は区として高さ規制があり、もうタワーマンションは建てられない。その分、過去の希少物件の資産性は高い。
10位は江東区27.3%、11位は豊島区27.0%で池袋駅・東池袋駅・大塚駅に集中する。以降、中野区25.5%、目黒区22.4%、品川区21.5%、荒川区13.8%と続く。
一方、都区部の他県との境となるエリアはタワーマンションの強みを出しにくくなる。規制のかかった世田谷区を除く8区は足立区の8.4%を最高に、葛飾区の-6.0%までほぼ他の物件との資産性で優位になってはいない。
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