NYタイムズ「7年で売上半減」から劇的復活した訳 老舗企業をV字回復させた「すごいDX処方箋」
同時に、デジタルな未来を持続可能な盤石なものとするために重要な、能力の構築についても、変革を進めています。これが第5のステップです。まず、エンジニアリング・チームによる技術とデータ基盤の強化により、読者のデジタル行動データを収集し、活用できるようになりました。NYタイムズが誇る100年以上のアーカイブと連動した関連記事の提示や、読者のプライバシーを保護した上でのターゲット広告の配信が、同社の新たな強みとなったのです。また、全社的にデジタル人材の新規採用や管理職への登用が進み、既存の記者を対象としたデータ駆動型ジャーナリズムや視覚的情報伝達の研修も行われました。
あの悲痛な内部報告書(イノベーション・リポート)の主執筆者であり、NYタイムズの2度目のDXを成功に導いた後に、2018年に6代目の発行人に就任したA.G.サルツバーガーは、「われわれは、ほかのどの報道機関よりもコードを書けるジャーナリストを多く擁している」と自負しているほどです。同社は、古い伝統に縛られたリスク回避の考え方から、リスクを取って失敗から学ぶことを大切にする文化へと、変貌を遂げたのです。
マクロ的視点とミクロ的視点を兼ね備える
DXは企業や組織のあらゆる階層で推進されてこそ成功します。そのため、CEOやCDO、あるいは事業部門のデジタル担当者、人事部などの部門長、はたまたデジタル製品の設計者まで、あらゆる階層・部門の社員が、組織全体を俯瞰したマクロ的視点と、各階層のミクロ的視点までを兼ね備えることが求められます。
ビジョン、優先順位、実験、ガバナンス、能力という5つのステップからなるDXロードマップは、DXの成功を願う全ての人の終わりのないジャーニーの一助となることでしょう。
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