コカコーラを日本一売った男の「営業力」の源泉 「雨風に曝され、つらい外回り」に先輩の教え

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翌週、すし安の訪問日です。

前回の件があるのでなんとなく敷居が高いのですが、伺わないわけにはいきません。店のドアを開けると奥さんがいます。「また、何か言われるかなぁ」と、内心落ち着きません。

「先週は悪かったわね。先輩の方、あんなにきつく叱らなくてもいいのにね。だから若い人たちがついてこないのよ。それにしてもあなたのところは本当に仕事に対して厳しいのね。びっくりしちゃった」

あれ、様子がおかしいぞ。いつの間にか私の味方になっているような感じです。

「覚悟して叱られろ」の意味

「あの後、主人と2人であんたに悪いことしちゃったと話していたのよ。でも主人は『ちょっと叱り過ぎだけど、あれだけ厳しい先輩がいるから、ちゃんと仕事ができるようになるんだ』なんて言い出して、こちらの勘違いを謝らないのよ。ごめんなさいね」

「いえ、いえ、とんでもない。きちんとできていなかったこちらにも原因があるので……」と、曖昧に返します。

『コカ・コーラを日本一売った男の学びの営業日誌』
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なるほど土居さんが「覚悟して叱られろ」「一番いいかたちで収まったから勘弁しろ」と言った意味がわかりました。

あの場で私が「これはそちらの勘違いです」と説明しても、火に油を注ぐようになってしまい、おそらく上手く収まらなかったと思います。

また、土居さんがすごい剣幕で私を叱ったのは、私たちの仕事に対する姿勢をお客様の目の前でしっかり伝えるいい機会だと考えたからではないかと思います。そのことがお2人の言葉からもうかがえます。

営業先で先輩からあれほど厳しく叱られたのは、後にも先にもこのときだけです。それはちょっとしたお芝居のような感じでした。でも、お客様にとってもこちらにとっても、ありがたい叱り方をしてくれたといまでも思っています。

※本文に登場する人物名、店名などは、実名・仮名を適宜使い分けています。

山岡 彰彦 株式会社アクセルレイト21代表取締役社長

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やまおか あきひこ / Akihiko Yamaoka

1980年四国コカ・コーラ ボトリング株式会社に入社し、営業職に就く。日本コカ・コーラ社主催の全国セールスフォースコンテストで第一位を獲得したことを契機に、全国のボトラー社から初の日本コカ・コーラ社への出向者となる。その後、同社の教育機関で全国セールスマンの教育に携わり、グループ企業の経営企画室室長を経て、現在は複数の大学で講義、多数の日系・外資系企業で研修を行っている。
https://www.visionroadmap.com/aboutus

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