北朝鮮の金正恩氏にはやはり息子がいないのか 韓国・文在寅前大統領の回顧録からみる家族構成
金正恩党総書記を「魅力的だ」と語り、「よい交渉相手だ」と評価した。キム・センター長は「北朝鮮住民全体が核の放棄に同意していたわけではない」とし「そのようなリスクを甘受してまで、肯定的な方向に進む人と一緒に働きたい」と語った。
金正恩党総書記は2018年春、同年6月のシンガポールでの史上初の米朝首脳会談を前に、韓国とアメリカに対して似たような言葉を発しながら、北朝鮮が非核化する意思があることをある程度、信じさせたわけだ。
アンドリュー・キム・センター長は、CIAで長年にわたり北朝鮮を担当してきたプロ中のプロだ。文在寅前大統領だけでなく、そういう人までもが金正恩党総書記の非核化への意思を信じたわけだ。
「ジュエ」が登場、「核が後の世代守る」と主張
しかしその4年半後、金正恩党総書記は2018年春の非核化への思いとは正反対の姿勢を示した。
金正恩党総書記は2022年11月18日、新型の大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星17」の発射実験を現地指導した。このICBMは意図的に角度を高くして飛距離を抑えるロフテッド軌道で発射され、最大高度6040.9キロまで上昇し、飛距離999.2キロ、4135秒(1時間8分55秒)飛行した。速度はマッハ22だった。
「火星17」は長さ23~24メートルにもなる世界最大規模のICBMで、韓国では「怪物ICBM」と呼ばれていた。通常角度で発射すれば飛距離は1万5000キロメートルを超えるとみられた。
金正恩党総書記はこの「怪物ICBM」を「愛するお子様や女史」とともに発射場に出向き「試射の全過程を直接指導された」のである。これが金正恩党総書記の娘「ジュエ」のデビューであった。
当時、なぜ金正恩党総書記がICBM発射に娘を同伴したのかが話題になった。これに回答したのが2日後の党機関紙『労働新聞』であった。同紙1面すべてを使い「朝鮮労働党の厳粛な宣言」と題した長文の「政論」を掲載した。この「政論」では繰り返し「子ども」が強調された。
「政論」は「火星17」の発射をわが子と共にテレビで見たという女性の、「われわれの子どもたちが永遠に戦争を知らず、晴れた青い空の下で生きるようになったのだから、どんなに感激的なことでしょうか」という発言を紹介し、発射実験成功は未来世代まで平和を守る意義がある、とした。
さらに「火星17」の発射は「愛する人民の尊厳と運命を踏みにじり、われわれの子どもたちの明るい笑顔を奪おうとする敵対勢力に対する憎悪」の発露であり「人民の限りない幸福、後代の明るい笑みのため」であったことを強調した。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら