常々本欄で論じてきたように、円安の真因が需給構造の大きな変化だとすれば、連続利上げにもかかわらず円高への戻しが甘くなる可能性は十分あり得る。
既報の通り、3月26日には財務官の私的懇談会として国際収支を分析する有識者会合が立ち上がっている(筆者も委員として今後議論に参加させていただく)。
国際収支に内包される需給構造の変化は、筆者が議論を始めた2年前と比べて、かなりメジャーなテーマになってきていると言って差し支えない。まだ、日本として講じることができる手は筆者はいくつかあると思うが、直情的な市場参加者が多い為替の世界ゆえ、時に市場は跳ねやすくなる。
こうした状況下、真偽はともあれ、仮に「円安は需給要因。もう利上げでは止められない」という観測が広まった場合、利上げのたびに追加利上げを催促する円売りが出てくることはないだろうか。
「手持ちカードを剥ぎ取られる」白川時代の逆展開に
かねて筆者は、植田和男日銀総裁の体制下で一番恐れるべき展開は白川方明総裁時代の逆の展開だと論じてきた。
白川体制ではいくら追加緩和を重ねても、執拗な円買いにより「次の一手」を煽られ、手持ちカードを少しずつ剥ぎ取られるという苦境に陥っていった。
仮にこのまま円安相場が続いた場合、植田体制はいくら引き締めを重ねても、執拗な円売りによって「次の一手」(追加利上げ)を煽られる展開になる恐れもある。催促的に円売りを重ねることで追加引き締めが必ず出てくるのであれば、決定会合前後は利益確定の機会として利用されやすい。
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