1人ひとりの思いを潰さないようにすれば、多種多様な考えが最大限集まる。それを実現させたいなら、議論を始める前に各自にそれぞれ意見を書かせればいい。
意見が集まったら、グループ全体で見直す。その際は、誰の意見かは明らかにしないまま、グループ全体で選択肢を狭め、意見を収束させていく。
こうして生み出された成果は「集団の英知」だ。条件が整っていれば、グループとしての見識は、そのグループに属するどの一個人のそれよりもつねに優る。
行動こそ重要という先入観を捨てよう
エルファロの船長と船員の命運が尽きたのは、過去のやり方に従い、それに伴う言葉を使うことが身体に染みついていたからだ。
彼らは時代遅れのやり方にとらわれて、違うやり方に目を向けることができなかった。
たとえ違うやり方を思い描けたとしても、仕事に就いてから従い続けているパターンから抜け出すことは困難を極めたに違いない。
身体に染みついたパターンを壊そうと試みる(そして失敗する)エルファロの高級船員たちの言葉には、不安が見て取れる。
行動を起こすことは大事だが、思考とのバランスをとる必要がある。会社として、個人として、学習し成長するには、行動と思考の2つの活動のバランスを正しくとることが重要なカギとなる。
何かについて考えようが、何かに関する決断を下そうが、その正否を確かめる行動をとらない限り、学習は生まれない。他者の指示に盲目的に従って行動する場合も同じだ。
行動と思考のバランスをとるのは必須だが、一方で私たちは長きにわたり、行動こそ重要という先入観にとらわれてきた。
これからは、組織のトップだけでなく、どの階級のどのレベルの人も、すべての行動に思考を伴わせるようにする必要がある。
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