日経平均の年末高と2024年新春高が見えてきた 「アメリカ市場の波乱」には引き続き要注意

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このように、この2週間で相場の景色が変わったことは明白で、筆者の予想どおり、10月最終週が今年最後の、そして最も重要な週になった。

だが、まだ当然、紆余曲折はある。まず13日は、日本市場が前出のムーディーズによるアメリカ国債の格下げをどう織り込むかだ。

次回のアメリカのFOMC(連邦公開市場委員会)にも目配せが必要だ。開催は12月12日~13日のため、12月に入ると参加者が発言を控えるブラックアウト期間に入る。今週からはFRB(連邦準備制度理事会)の要人や各連銀総裁などの講演会や会合が増加し、当局者の発言がメディアを賑わしそうだ。

すでに前週は、ジェローム・パウエルFRB議長発言でニューヨークダウ平均株価は9日に前日比220ドル安となったが、10日には逆に同391ドル高となる神経質な動きを見せた。

今後も「FOMCの政策決定は会合ごとに」ということなので、14日に発表される10月CPI(消費者物価指数)を筆頭に、15日の10月PPI(卸売物価指数)や小売売上高、16日の10月鉱工業生産・設備稼働率、17日の住宅着工件数などの同国の経済指標が注目される。

「年末高と新春高」が見えてきた

一方、日本においては15日の7~9月期GDP(国内総生産)速報値が最も重要となる。4~6月期は年率換算で+4.8%と高く出ていたが、7~9月期は−0.5%程度と予想されている。すでにメディアで予想されている数字とはいえ、15日に実際発表になったときの市場の反応はどうなるか。

また、投資家が最も関心を持っているのが「これからの市場の中心はバリュー株かハイテク株か」ということだと思う。筆者は、デフレ脱却相場は銀行株中心のバリュー株が本線であることは変わらないと思っている。

問題はハイテク株、とくに半導体関連株だ。川下の半導体最終ユーザー(インテルやアップルなど)の在庫調整は今年で終わり、来春からの急上昇が考えられる。

ということは、川上に位置する半導体製造装置メーカーの業績回復は若干遅れるが、来年半ばには業界全体が上がってくると考えられる。つまり、2024年はバリュー、ハイテクの2本立ての強力相場とみる。これからの年末高はその2024年の強力相場につながる大事な相場とみている。

(当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)

平野 憲一 ケイ・アセット代表、マーケットアナリスト

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ひらの けんいち

日本証券アナリスト協会検定会員。株一筋約45年。歴史を今に生かすことのできる「貴重なストラテジスト」として、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌への出演や寄稿記事多数。的確な予想で知られ、個人投資家の間には熱烈な「平野ファン」がいることでも有名。1970年に立花証券入社以来、個人営業、法人営業、株ディーラーを経て、2000年情報企画部長マーケットアナリストとして、投資家や各メディアに対してマーケット情報発信をスタート。2006年執行役員、2012年顧問就任。2014年に個人事務所ケイ・アセット代表。独立後も、丁寧でわかりやすい解説を目指す。

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