ゲインキャピタル・ジャパン

国際ジャーナリスト蟹瀬誠一氏に聞く
為替を動かす世界三大トピックス
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AIIBについては、すでに57カ国が参加を表明していることから、「時代の波に乗り遅れた」といった報道も目にします。私自身は、その判断は尚早だと考えています。というのも、資本金1000億ドル(約12兆円)の資本金のうち、中国が最大の約29%を出資し、議決権でも4分の1超を握るという状況では、中国の思惑に沿ったプロジェクト融資が行われることを懸念せざるを得ないからです。

いずれにしても、中国が人民元の基軸通貨化を着々と進めていることは確かです。人民元の取引については、まだ他の通貨ほどの自由度はありませんが、近い将来、変化が起こるという可能性は視野に入れておくべきでしょう。

ギリシャのデフォルトと英のユーロ離脱?

財政ひっ迫などに苦しむギリシャと、緊縮財政の改革を求める欧州連合(EU)との対立が続いている。債務不履行(デフォルト)やユーロ圏からの離脱はあるのか。他方、英国では総選挙で保守党が大勝し、公約であるEU離脱の是非を問う国民投票が実施される予定だ。
蟹瀬誠一
米AP通信社記者、米『TIME』誌特派員を経て、91年にTBS『報道特集』キャスターとして日本のテレビ報道界に転身。以降もさまざまなメディアで活躍。04年から明治大学で教鞭を取り、現在は同大学国際日本学教授

ギリシャの債務問題は最終局面といった状況です。EUの支援条件である構造改革案について対立が続いており、合意に達するのは難しそうです(6月30日現在)。デフォルトの恐れもないとは言えなくなってきました。

ただ、市場はすでにそれも織り込み済みで、デフォルトは短期的なユーロの下落を引き起こしても、世界規模の金融危機はないと見ています。

一方で、チプラス政権にとっては、政権崩壊の危機であることは間違いありません。EUに歩み寄りの姿勢を見せるチプラス首相に対し、政権内部の強硬派から反発が強まっているからです。

7月5日の国民投票で、EUからの提案を受け入れるかどうかを決めるわけですが、ギリシャ国民は増税・年金削減には応じたくないが、EU離脱にも反対という立場。文言次第ではどちらにも転ぶ可能はあるでしょう。

とはいえ実際、ギリシャのユーロ圏からの離脱はあまり現実的なシナリオではありません。というのも、ギリシャはバルカン半島の南端という地政学的にも重要な位置にあり、北大西洋条約機構(NATO)としても手放したくはないからです。

EU離脱といえば、英国のほうが危ないですね。英国の総選挙では、キャメロン首相が率いる与党・保守党が単独で過半数の議席を獲得しました。

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