国際ジャーナリスト蟹瀬誠一氏に聞く
為替を動かす世界三大トピックス
ゲインキャピタル・ジャパン

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資産運用の選択肢の一つとして、外国為替証拠金(FX)取引が根強い人気を維持している。今や短期売買で収益を狙えるだけでなく、自動売買ツールを使って独自のスキームを組むことも可能だ。2015年下半期の為替相場を予測するにあたり、どのような世界情勢に注目すべきなのか。国際ジャーナリストであり、キャスターや明治大学教授も務める蟹瀬誠一氏に聞いた。

 

米FRB議長、年内利上げを示唆

2015年下半期、米ドルについての最大の焦点は年内の利上げの有無だ。米連邦準備理事会(FRB)のイエレン議長は5月22日、米ロードアイランド州で講演し「年内のいずれかの時点で利上げに進むのが適切」と述べた。

利上げが行われると11年ぶりということになります。イエレン議長はこれまでにも、今年6月末や秋口の利上げに言及してきましたが、伸ばし伸ばしにしている印象はあります。

「本当に、年内に値上げするのか」と懐疑的な見方も依然としてあります。しかし、第1・四半期の主要な経済指標が弱かった、という説得力のある理由があったのです。

ここにきて年内の利上げを強調した背景には、足元の米経済が持ち直し、第3、第4四半期には回復するという前提があるのでしょう。実際、米経済は短期的には成長が鈍化したものの、中期的には成長が期待できると思われます。

FRBは昨年の10月、量的緩和第3弾(QE3)に伴う資産購入を終了することを決めました。金融政策を引き締め始めていることは明確です。他の通貨と比較して、ドル高傾向になると考えるべきでしょう。

人民元の基軸通貨化を狙う中国

中国は、国際通貨基金(IMF)が予定する特別引き出し権(SDR)の構成通貨への人民元の採用を目指している。また、中国が設立を主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)では、同国が最大の資金を出資する。

IMFでは、SDRの構成通貨を5年ごとに見直しており、今年がその年に当たります。現在、SDRの構成通貨は米ドル、ユーロ、英ポンド、日本円の4つですが、中国政府はこれらに次ぐ第5の通貨として人民元の採用を目指しています。

実は5年前の2010年にも、人民元の採用が議論されました。当時は、取引の自由度が低いことや、司法制度が信頼できないといったことから見送られましたが、この5年間で情勢は大きく変化しています。

2010年には国内総生産(GDP)は日本を抜いて、世界第2位の経済大国になりました。いずれ米国を抜き世界1位になることは間違いありません。SDRへの採用についても、今年はかなりホットな議論がなされると考えられます。

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