アクセンチュアvs.電通、「異業種バトル」の第二幕 「コンサル・広告の雄」が互いの本拠地に攻勢

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自社内はもちろん、グループ内の戦略コンサルと連携することで、一気通貫の案件を成立させることも可能だ。電通デジタルの瀧本恒社長は「コンサル会社であれば(プロジェクトに参加する)人数や時間で価値が測られがちだが、電通グループならば有名なクリエーターが経営者に伴走するなど、(付加価値の物差しが)別の概念になる」と、アクセンチュアとは真逆の強みを訴求する。

電通デジタルの瀧本恒社長
電通グループが進めるコンサルシフトの先頭に立つ、電通デジタルの瀧本社長。2030年までに人員を倍増させる計画だ(撮影:梅谷秀司)

目下の課題は人員規模の拡大だ。現在の約2500人という社員数では、既存の案件を回しつつ、超大手企業からの大型案件を請け負うことができないという。そのため2023年7月には、2030年までに人員を5000人へ倍増させる計画をぶち上げた。

足元ではAI対応にも力を入れる。2023年4月にグループ内のAI開発企業・データアーティストと合併し、10月5日には「∞AI(ムゲンエーアイ)」というブランド名の下、デジタル広告やチャットボット、バーチャルヒューマン・オウンドメディア構築といったAIサービス群を発表した。

電通デジタルの山本覚執行役員は「単品ではアクセンチュアやサイバーエージェントと重なるサービスもあるが、クリエーティブ関連のサービスやこれらの一体提供という面では差別化できている」と自負する。

第2ステージ突入で極まる構図

電通グループが中期経営計画で「顧客企業の事業変革」、つまり戦略策定も含めたコンサル機能を注力領域の1つに掲げ、ドリームインキュベータに出資する一方、アクセンチュア傘下のドロガファイブが東京に拠点を構えたのが2021年。ここから明確に始まった両社間の異業種バトルは、今まさに“第2ステージ”に入ったといえる。

ただ、電通デジタルが強化を急ぐ採用面では、人材会社幹部から「上流のコンサル経験者を奪い合うとしたら、アクセンチュアは相当の年収を提示してくる。仮に電通デジタルが年収を上げたとしても、そのさらに上を出せるはずだ」という声が上がる。

アクセンチュアはAIに関しても、2022年末にビッグデータ解析やAI関連の開発・コンサル企業であるALBERT(アルベルト)を買収。競争軸の磨き上げへ、トップスピードを保っている状況だ。

この領域には伊藤忠商事など、アクセンチュア・電通以外の陣営もなだれ込んでいる。異業種バトルの第二幕は、熾烈さを極めそうだ。

森田 宗一郎 東洋経済 記者

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もりた そういちろう / Soichiro Morita

2018年4月、東洋経済新報社入社。ITや広告・マーケティング、アニメ・出版業界を担当。過去の担当特集は「サイバーエージェント ポスト藤田時代の茨道」「マイクロソフト AI革命の深層」「CCC 平成のエンタメ王が陥った窮地」「アニメ 熱狂のカラクリ」「氾濫するPR」など。

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