シャープ再建、メインバンクの評価に温度差 みずほ、三菱UFJのトップが異例の言及

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三菱UFJフィナンシャル・グループの平野信行社長。一定の評価をしつつ、注文もつけた(撮影:今井康一)

三菱UFJFGの平野信行社長も決算会見で「シャープは日本の産業にとっても、経済にとっても重要な企業なので、一言コメントさせていただきたい」として、見解を述べた。

新しい経営計画に対し「今後の再生の加速化につながる内容」と評価したものの、「施策の詳細化や、詰めが終わっていないものも確かにあると考えている。危機感を持って、迅速に改革・再建に取り組んでいただきたい」とクギを刺した。総じてポジティブだったみずほFGの佐藤社長の言いぶりとは、微妙な温度差も感じられた。

「予期しない展開になった」

三菱は、みずほと同様、シャープに自行出身者の役員を派遣し、経営をモニタリングしてきた。だが、結果的には不調の兆しを早い段階でキャッチすることはできなかった。平野社長も「シャープが昨年末から今年1~3月にかけて、私自身も予期しなかったような展開になったのは、まことに残念だと思っている」と述べている。シャープは三菱に対し、直前までこうした事態の把握ができなかったと説明したという。

5月14日の会見でも、シャープの高橋興三社長は急激な業績悪化について、「現在のガバナンスと経営管理体制で対応できなかったのが反省点」と述べている。今回発表された新しい経営計画の柱の一つに、ガバナンスの強化が含まれていることに平野社長は言及し、「経営管理機能を強めていただくことを期待している」とも語った。

経営計画の説明の中で、「新生シャープ」という言葉を繰り返した高橋社長。平野社長がクギを刺したように「危機感を持って迅速に再建に取り組み」、新たな経営計画を遂行し、佐藤社長の言う「成長戦略の土台」を築く必要がある。今回は両行とも、実質的に借入金を優先株に振り替える「デット・エクイティ・スワップ」(DES)に応じるだけに、これまで以上にシャープに目を光らせることになりそうだ。

福田 淳 東洋経済 記者

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ふくだ じゅん / Jun Fukuda

『会社四季報』編集部、『週刊東洋経済』編集部などを経て編集局記者。

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