美大生ではない大学生たちがAdobe Creative Cloudを使う理由

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進路選択の幅を広げるスキル

学生達の声のなかには、クリエイティブツールのスキルを習得することで、職業を選択する目が変わったといった声も聞かれる。そうした声の一つに、「もっと早くアドビのIllustratorやPhotoshopを知っていれば、進路の幅が広がったはず」という本音の吐露もあり、象徴的である。

アドビ製品などのクリエイティブツールは、学生が就職時など将来を模索する際に間違いなく付加価値となるスキルであり、就職後もそのスキルを磨き伸ばすことは、さらに本人の価値を高めることになるだろう。しかも、使えることが当たり前になった先の展開を考えている学生もいる。

今回、話を聞いたなかでも、特にグローバル競争を自覚する我妻さんは「自分はデザイナーとして就職するわけではありませんが、デザインやプログラミングというのは、英語と同じように自分のエンジンの一つであり、他の人と差別化できるツールです。しかし、使える人が増えてツールのハードルが低くなったときには、良いモノを作るとか、それを人に伝えるという意味において、デザイン思考に基づいた表現スキルが重要になってくると思います」と話す。つまり、表現スキルでの差別化がより必要になってくるということだ。

また宮田さんは、知っている、知らないで大きな差が生まれる時代になったのを実感していると話す。「今は、コスト面でも少し頑張れば、学生でもプロと同じクリエイティブソフトに手が届き、自由に使いこなして世界中の人と同じ土俵で戦えます。そうしたなかでは、アドビ製品はプロが使う本物のツールなので、自分次第で学生でもプロと同じ土俵に立てる世界があることを学生に体験させる力がある。ツール自体を知っているか、知らないかだけで、すごい大きな差ができるという時代であることも知りました」

宮田さんは、就職後、クリエイティブのスキルが生かせる場面では、今まで学んだことを駆使し、常に求められている以上のものを作っていきたいと意欲を見せる。

Creative Cloudを教育機関全体で導入する動きが急増


「2015年4月時点で90校近くの大学がアドビのクリエイティブ製品を大学全体で導入している。最近では、宇都宮大学、慶應義塾大学、大同大学、法政大学、北海道大学、立命館大学などが、包括契約を締結し大学全体での活用を推進している。

この動きは、高等学校にまで広がりを見せている。奈良県教育委員会はすべての県立高校に順次Adobe Creative Cloudを導入する包括契約に加入している。鳥取県教育委員会も包括契約に新たに加入する。これからの高校生たちにとっては、アドビ製品が大学に導入されるのは当たり前の時代になりつつある。」

意識改革が必要な大学のICT構築

ICT環境の充実に注力する大学は年々増えている。それ自体は良いことだが、ICTが単なる事務連絡用のインフラや、持ち歩くのが重いからという学生たちのレンタルパソコンになってはいないだろうか。

これから世界と戦う人材には中身とスキルが必要であり、プレゼンテーションにおいても中身があることは当然で、見せ方のスキルが評価の差につながることになる。個人がパソコンを持つのが当たり前の時代に、大学がパソコンを設置する大きな目的の一つは、学生の創造性を高めるソフトウエアを充実させ、社会で勝てる人材を育てることだ。それが巡り巡って大学の価値向上にもつながるはずである。

大学のICT環境構築は、しっかりとした人材育成の戦略を持って変革する時期にきている。