美大生ではない大学生たちがAdobe Creative Cloudを使う理由
今回話を聞いた現役大学生の一人、綿貫岳海さんは、早稲田大学創造理工学部総合機械工学科の3年生(取材時)。Adobe Illustratorとの出会いは高校3年のとき、学校内で発行される冊子制作の手伝いを頼まれ、無料体験版を使い始めたのが最初と話す。進路を決める時期になった綿貫さんは、デザインとエンジニアリングのどちらの道に進むか悩んだが、最終的にエンジニアリングに決めた。「僕は、ハードもソフトもわかり、デザインもできるエンジニアになりたいと考えています。たとえばアプリケーションのプロトタイプを、Adobe Photoshopを駆使して作り上げながら、中身のコードも高いレベルで書くというところに目標を置いています」
綿貫さんの目標は、まさにエンジニア志望の学生になぜ「クリエイティブ」が必要なのかに対する答えなのだ。「今の時代、エンジニアとデザイナーの壁はなくなりかけているといわれています。何かモノを作るときにそれぞれが分断しているとどうしても価値を表現しきれない部分があるため、エンジニアリングもデザインも両方できる人材が重要視される時代になってきているんです」
今は、機械工学部の学生が、顧客が使いたいものは何だろうと自分で考え、デザインも含めて実現できる時代になっている。しかも、生まれたときからICT環境に囲まれて育ってきた学生たちは、それを当たり前に受け止め、当たり前にやろうとしているのだ。大学のICT教育になぜ「クリエイティブ」が必要なのかの核心の一つは、まさにここにある。これはエンジニアの仕事、これはデザイナーの仕事という時代ではなくなり、危機意識を持った学生が、自分でさらにスキルを磨こうとしているのである。
1年でクリエイティブスキルを磨く
宮田稔さんは、中央大学経済学部経済情報システム学科の4年生(取材時)。就職活動のとき、ある企業の最終面接でスライドプレゼンテーションを求められた。「実は、そのときはまだIllustratorを知らなくて、その後自分のキャンパス
で導入されていたので積極的に使うようになりました。面接のときの自分のプレゼンテーションを今見るとクオリティの低さを感じます。アドビ製品を早く知っていれば、もっとクオリティの高いプレゼンテーションで面接に臨めたと今は思っています」
「僕自身、アドビのクリエイティブソフトを使うようになって1年も経たないうちに、モノを作って表現し、人に訴えかけることを非常に意識するようになりました。それと同時に、美術館に行くようになったり興味や行動の幅が広がりました。表現力だけではなく、マインドの部分にも影響を与えてくれるという点で、後輩にもぜひ使ってほしいです」