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日銀のYCC修正が後ずれすることの意味はなにか 金融政策正常化プロセス明示による混乱回避を

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  • 森田 長太郎 オールニッポン・アセットマネジメント執行役員/チーフストラテジスト、ウォールズ&ブリッジ代表

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日銀の植田和男総裁も物価見通しの不確実性をなお語る。写真は4月28日(編集部撮影)

植田和男総裁就任後、2回目の日銀金融政策決定会合が6月15~16日に行われた。初回4月会合に続いて政策修正の動きは見せなかった。直近の調査によれば、市場での政策修正予想は7月が最も多く、YCC(イールドカーブ・コントロール政策)の修正ないし撤廃に期待する声が多い。ただ、植田総裁は今回の会合後の会見も含め、YCCは副作用と効果をよく見極めてその扱いを決めるという考えを繰り返し述べている。

その副作用という点では、日銀の多量の国債買い入れによって歪みが目立っていた10年金利(YCCのターゲット)の周辺のイールドカーブは、この2~3ヵ月でかなりスムーズな形状に戻っている。また、日銀が3ヵ月に1度実施している「債券市場サーベイ」では、債券市場の「機能度」は5月調査で1年ぶりに改善を見せている。

YCCの副作用は軽減している

植田総裁の発言と客観的なデータを照らし合わせて考えれば、副作用の観点からYCCを修正する可能性は数ヵ月前に比べて大きく低下しているように思われる。それでも市場は4月会合で修正がなければ次の6月、その次は7月というように予想を少しずつ後ずれさせつつ、「早期修正」の予想自体は変えていない。

市場が引き続きYCCの早期修正を予想するのは昨年12月、唐突に日銀が10年ターゲット金利の上限を引き上げたことの影響もあろう。「YCC修正はサプライズで実施される」、「副作用が多少なりともあればいつでも日銀はYCCを修正する」といった見方が市場では根強い。

しかし、もし日銀がYCCの副作用は足元で十分に軽減したと認識した場合、YCCの修正も物価目標達成の見通しと連動して行われるのが筋だろう。物価見通しについては、植田総裁も繰り返し述べているように、CPI(消費者物価指数)の前年比は今後いったん反落に向かい、その下げ止まる水準や反転のペースには強い不確実性があるというのが現時点での日銀の見方である。YCCの修正も現在市場が予想しているタイミングよりは大幅に後ずれする可能性があるということである。

ところが直近の市場調査を見ると、市場参加者の多くは、依然としてYCC修正は「早期」に、マイナス金利解除などその他の緩和措置の修正は「はるかに遅く」と予想している。マイナス金利解除は2025年度以降になるという予想も多いくらいである。

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