東証も注目!「エクイティスプレッド」ランキング 株主の期待以上に価値を高めている企業を探せ

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ランキングでトップとなったのは、ファッションを中心とするECサイト「ZOZOTOWN」を運営するZOZO。1500以上のショップが出店し8400以上のブランドを取り扱う日本でも有数のECサイトで、システムや物流などの機能を自社で構築していることも強みとなっている。

出店するショップの運営管理を受託し商品取扱高から受託手数料を得る在庫リスクのないビジネスモデルで、予想ROEは54.9%と非常に高い収益性を誇る。一方で株主資本コストは5.2%程度と推計され、エクイティスプレッドは50に迫る数値となっている。なお、ZOZOは今回、エクイティスプレッドの選考基準によりJPXプライム150指数に採用されている。

2位のジェイリースは、住居用、事業用の家賃債務保証を主力事業として展開する時価総額200億円ほどの小型の成長企業だ。創業の地である九州を地盤に、大阪や東京など大都市圏や地方圏などにも事業を展開している。

住宅用家賃保証が大都市圏でシェアが拡大しているほか、オフィス、店舗など事業用賃料保証も契約件数が増勢。今2024年3月期も連続で最高純益を更新する見通しとなっている。株主資本コストは10%前後とやや高くなっているものの、予想ROEは50%でエクイティスプレッドは高水準となっている。

商業施設やビルなどの駐車場を一括で借り受け、転貸する駐車場事業を展開する日本駐車場開発が3位に入った。白馬八方尾根、川場などのスキー場運営や、那須ハイランドパークなどテーマパーク運営も手がける。予想ROEは38.8%で、こちらも高い資本収益性となっている。さらに、6月9日に発行済み株式の1.25%を上限とする自己株買いの実施を発表。さらなる資本効率の向上を目指している。

ランキング上位は中長期での企業価値向上に期待

一方、ZOZOと同様にJPXプライム150指数に採用されたのが4位のベイカレント・コンサルティング。金融やIT、製薬、エネルギーなど幅広い業界の大企業向けを中心に、事業戦略立案やDX(デジタルトランスフォーメーション)などのコンサルサービスを提供している。顧客がDXを推進する流れを受け、大幅な増収増益が続いている好業績企業だ。40%を超える高いROEを背景に、エクイティスプレッドは34.7となっている。

JPXプライム150指数には、10位の飲食店検索サイト『食べログ』と価格比較サイト『価格.com』を運営するカカクコム、11位の先端半導体向けマスク欠陥検査装置のレーザーテック、23位の間接資材ECのMonotaRO、26位の「ザ・ノース・フェイス」などスポーツ・アウトドアブランドを展開するゴールドウインも、エクイティスプレッドの基準を満たしたことで選出されている。

上場企業は、株主や金融機関から調達した資金を活用して事業活動を行い、その調達コストを超える収益を生み出すことが求められる。高いエクイティスプレッドを継続することができれば、中長期的に企業価値は向上していくことになる。ランキング上位に入った企業は、企業価値の向上が期待できる有力候補だ。

なお、『プロ500』の誌面では、業績やテーマ性、株価の動向などをもとに全上場企業から500銘柄を厳選して掲載している。今回のエクイティスプレッドランキングの上位に入った銘柄でも、誌面では非掲載となっているものもある。『プロ500』に非掲載の企業については、全上場企業を掲載している『会社四季報』や、オンライン版の『会社四季報オンライン』で概要をチェックしてみていただきたい。

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