自転車ヘルメット「着用義務化」でわかった危険度 未着用の事故致死率2.2倍、約6割が頭部損傷で死亡

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「お客様からは『降車後のヘルメットの取り扱いが面倒』という声をいただいています。盗難の可能性を考えると自転車に置いてはおけない。かといって持ち歩くにはかさばって重い。

これらの課題をクリアしないと、幅広い人にヘルメットを着用していただくのは難しいのでは、と個人的には考えています」

環境が整わないと着用率は上がりにくい。考えられる解決策は?

「スポーツサイクル利用者など現状ですでにヘルメットを着用している人は、ヘルメット収納場所があるリュックサックを活用したり、リュックサックの外側にひっかけたりして持ち歩かれています」

通勤や街中での自転車移動に最適な都会派ヘルメット。後部左右に大型リフレクターがあり、ドライバーへの存在をアピールできる(写真提供/株式会社オージーケーカブト)

ユーザーが欲しい折りたたみヘルメットの可能性

折りたためるヘルメットがあれば、持ち歩きやすそうだが……。

「そういう声もいただいていますが、残念ながら現状では難しいですね。折りたたみの機構を組み込むと、国内の安全基準には適応しないので、頭部を守るという本来の目的が果たせなくなります。

弊社のようなメーカーが技術開発を進めるとともに、駐輪場でヘルメットを預かってくれるサービスなどがあると、ヘルメット着用が定着しやすくなるのではないか、と思います」

とはいえ、売り上げが増えていることからもわかるように、ヘルメット着用は徐々に広がっている。

「おそらく努力義務を呼びかける側の警察や自治体などの人は、4月からヘルメットを積極的に着用すると思います。

結果、ヘルメットで自転車に乗る人を見かける機会が増えますから、『自分も着けようか』と考える人がジワジワ増えていくのではないでしょうか」

一生のうちで自転車事故に遭わない人のほうが多いかもしれない。だが、だからといって今後も安全とは限らない。

「ヘルメットを着用しても、ほとんどの人は実際に役に立つ場面に遭遇することはないでしょう。でも万が一のときには、何より大事な命を守ってくれますから、ぜひ着用を検討していただきたいと思います」

アウトドアなシーンにもいいハット型。夜間のお出かけにも安全。車などのライトに反射してピカッと光るリフレクター素材を装備(写真提供/株式会社オージーケーカブト)

(取材・文/中西美紀)

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