「趣味を仕事にしたい」と考える人の誤った視点 案外難しい趣味との向き合い方、どう考える?

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仮に他者からの評価なんかがあったとしても、仕事以上に厳しい評価をされるものではありませんし、どこかに一定の評価基準や手法があるわけではありません。ましてやそういった他者からの評価によって、給与などそこから得られる何かが変わるものでもありません。

あるのは、個々人が自分の満足のために自分なりの楽しみ方や自己評価をしているというくらいのものです。

趣味の世界においては、評価者は自分自身のみというケースが大半ですから、変な話「俺はこの道のプロだ」と勝手に思っていても誰にも迷惑がかかりませんし、自分が満足していれば大いに結構なのです。

加えて、趣味の世界は自分個人のものであり、嗜好を同じくする者同士のみがわかりあえるものだったりします。

そこには激しい競争もありませんから、はたして自分がその世界においてどの程度のレベルなのかなどを理解すること自体が難しいのです。

趣味は閉じた世界、仕事は社会的な性質を持つ世界

つまりは、趣味というからには本質的には非常にプライベートな世界であり、閉じた世界なのです。

反対に仕事や職業という話になると、今度は非常に社会的な性質をもった世界になってきます。

そこには他者との密接なかかわりはもちろん、他者からの評価や、給与や役職などの明確な序列なんかが存在してきます。

つまりは、自分だけが満足していればよい趣味の世界とは異なり、仕事においては、その対価が存在するという意味においても、他者や周りを満足させ、納得させるだけの経験やスキル、実績が求められるのです。

この違いをまずは明確に認識したほうがよいでしょう。

頂戴したMHさんの相談を拝見するに、対象となる趣味は不明なものの、少なくとも現時点においては、そのような周囲からの評価を得られてはいない状況のようです。言い換えますと、MHさんが思う自己評価と、客観的に周囲から見た評価には大きなギャップが存在する状態です。

社会の中で評価を得ようとすれば、「世間が何を求めているのか」、「何が評価されるのか」といった、周囲を理解する力が必要です。

「自分が思うよいことをしているから、周囲がついてくる」ではないのです。ご自身が思う価値と世間の価値にギャップがある限りは、その世界において稼ぐことは難しいでしょう。

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