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「63歳でMBAへ」元ホンダ子会社社長の数々の挫折 平均年齢が意外にも高い、MBAの受講者たち

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  • 浦上 早苗 経済ジャーナリスト、法政大学MBA兼任教員(コミュニケーションマネジメント)

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MBAに通う小林さん(写真:筆者撮影)

筆者は日本の大学院(MBA)で教鞭をとっている。秋学期最初の授業で、履修生のプロフィールを見て驚いた。半数が40代以上で、50~60代が3分の1を占めていたからだ。

しかもその中に、大手企業の経営層や早期退職者が大勢いる。MBAはいわば経営幹部の養成機関で、アメリカだと20代、日本でも20代後半~30代の社会人を対象にしている。

なぜ60代でMBAに?

年長者に門戸を閉ざしてはいないが、日本と海外のMBAで学び、教えている筆者にとっても、これほど平均年齢が高いのは初めての経験だ。

昨今の「人生100年時代」「リスキリング(学び直し)」ブームの影響だろうか。クラス最年長で大手自動車メーカーの海外法人社長まで務めた小林正光さん(63)に、「なぜ今さらMBAに?」と聞くと、「定年退職後にコンサル職に応募したら面接にも進めず、自分の市場価値の低さを突きつけられたことがきっかけです」と返ってきた。

小林さんは大学卒業後に本田技研工業に入社。経理財務畑を歩み、イタリア、カナダ、中国、ドイツと累計22年を海外駐在員として過ごした。2013年からはドイツとイギリスの現地法人の社長を兼任して外国人約200人のチームを率い、2019年3月に60歳で定年退職した。雇用延長も打診されたが、「これからは自由に生きたい」と断った。

「退職の日を迎え、ドイツから帰国の便に乗ったときは『やっと解放された。肩の荷が下りた』という思いでいっぱいでした」

「大変なこともたくさんありましたよ」と本人は言うが、他人から見れば順風満帆なサラリーマン人生だろう。

退職翌日にスポーツクラブに入会した。駐在員時代にコミュニケーションに苦労したことから、「これから海外赴任する人の役に立ちたい」と異文化研修講師も時々引き受け、悠々自適の「第二の人生」が始まった。

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【第二の人生は苦労の連続】

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