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プーチンが文豪ドストエフスキーを利用する思惑 「カラマーゾフの兄弟」で読むウクライナ戦争

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2021年11月、リニューアルしたドストエフスキー博物館を訪問するプーチン大統領(写真:ロイター/アフロ)
・『カラマーゾフの兄弟』とは?
ドストエフスキーの人生の総決算として、1879年に雑誌連載がスタート。欲望にまみれた父、フョードル・カラマーゾフと、それぞれに「カラマーゾフの血」を牽いた3人の兄弟、ドミートリイ、イワン、主人公のアリョーシャの人間模様が描かれる。小説のテーマは「父殺し」。作品の成立した19世紀後半のロシア、そして現代の世界においてこの普遍的なテーマがどのような意味を持つのかが問われる。

「父殺し」の小説と現代ロシアの大いなる父

『カラマーゾフの兄弟』は、端的にいえば父殺しのミステリーだ。事件の舞台はロシアの片田舎だが、この「父殺し」というテーマが、物語の書かれた19世紀のロシア、さらには現代でどのような普遍性を持つのか。それが問われなくては、今この作品が読まれる意味はない。

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19世紀のロシアにおける「大いなる父」といえば、アレクサンドル2世だ。1861年の農奴解放によって「解放王」の異名もある名君主だが、性格的な弱さもあって改革が不徹底なものになり、抑圧されてきたロシアの民衆の不満は逆に膨れ上がって爆発する。それが60年代後半から70年代のテロの時代につながっていく。『カラマーゾフの兄弟』はこうした時代に1つの問題を突きつけた。

視点を現代のロシアに移すと、プーチンという大いなる父がいる。世界を混沌の中に陥れているプーチンだが、彼の支持率はまだ7割もある。

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