「サステナブルなコンサル会社」意外な独自性 上場企業の強み発揮、会計と人事・経営の関係

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コロナ禍を機にDXに取り組む企業が増加。それに伴い、コンサルティングサービスのニーズも高まっている。とくに電帳法やインボイス対応で会計領域のDXは急務だが、同時に人事領域でコンサルティングを求める企業も多いという。なぜ「会計と人事」の両方でDXを進める必要があるのか。総合バックオフィスサポーターとして企業の成長を支えるビジネスブレイン太田昭和(以下、BBS)の取締役常務執行役員・公認会計士の谷渕将人氏に話を聞いた。

「人事コンサルティング」の引き合いが増えている

日本は少子高齢化が進み、企業は構造的な人手不足に陥っている。多くの企業が生産性向上を経営課題の1つに挙げ、デジタル活用でそれを実現しようとしている。企業の総合バックオフィスサポーターとしてコンサルティングやシステム開発を手がけるBBSの元にも、DX支援の依頼が殺到中だという。コンサルティング部門を率いる谷渕氏は次のように明かす。

「会計周りのDX化コンサルティングはもちろんですが、今、とくに引き合いが増えているのが人事コンサルティングです。近年、自社でデジタル人材を確保する動きが強まっています。ただ、デジタルに知見を持つハイスキル人材から見ると、年功序列型の人事評価制度は魅力に乏しい。そこでジョブ型人事制度を検討する企業が増えています」

ビジネスブレイン太田昭和 取締役常務執行役員 公認会計士
谷渕 将人

同社は監査法人にルーツがあることから、会計コンサルティングに強みを持っている。実際に経理のペーパーレス化や電帳法・インボイス対応などの引き合いが多いが、ニーズの高い領域が広がりつつあるというわけだ。

会計領域のイメージが強いBBSだが、実はコンサルティングをする領域はシステムや予算管理、セキュリティー、M&A、IPO支援など幅広い。手がける領域が多岐にわたると、一般的には「広く浅く」になりがちだ。しかし、BBSでは公認会計士、税理士、社会保険労務士や中小企業診断士をはじめ、業務・IT・セキュリティーなどそれぞれの領域の専門家が在籍している。しかも、「会計士+IT+IPO」というように、ダブルライセンスあるいはマルチライセンスの専門家も多い。

「実際には1人がすべてを見るのではなく、複数の専門家が集まって手がけるプロジェクト形式が多数です。ただ、それぞれのコンサルタントが複数領域の知見を持っていると、チームを組んだときに共通言語で話すことができるので、切れ目なく上質なコンサルティングサービスを提供できます」

ビジネスブレイン太田昭和のサステナビリティー経営
BBSは企業の総合バックオフィスサポーターとして、計数管理や人事管理のシステム導入をはじめ、さまざまな支援を行っている

コンサルティング事業の対象領域の中で、人事はやや異質な印象がある。しかし、創業者の公認会計士、山﨑甲子士(きねお)の「計数管理と人事管理は経営の両輪」という理念に基づき、同社は早い段階から人事領域のコンサルティングも手がけてきた。

「意外かもしれませんが、会計と人事こそ密な連携が欠かせません。例えば営業担当の成績を評価するときに、売上額をベースにするのか、それとも販売数量をベースにするのか。あるいは部門の業績を評価するときに、経費をどう考えるのか。会計と人事、両方の知識を持っていてこそ、経営戦略や現場の実態に即した人事制度を構築できるのです」

上場企業としての実経験で得た知見を生かしている

BBSが提供するコンサルティングサービスの強みは、複数領域をつなぐ連携力だけではない。一般的なコンサルティングでは「To Beモデル」、つまりあるべき理想の姿を示されることが多い。ただ、実際の経験に基づいたモデルではないために、机上の空論になるケースが少なくない。

一方、BBSは東証プライム市場に上場していることから、上場企業として求められる要素を自社で実践しており、そこで得た知見を基に顧客企業へのコンサルティングを行っている。この「実践型コンサルティング」が、企業から高く評価されているのだという。

ビジネスブレイン太田昭和のコンサルティング事業
BBSのコンサルティング事業は非常に多岐にわたる

「例えば、国際財務報告基準(IFRS)を適用、導入するとどんな効果が見込め、誰の負担がどれほど増えるのか。その数字はどのシステムで作成するのか。有価証券報告書に記載する注記はどう表現すればいいのか。こうした実務の経験なしにコンサルティングをしても、実際の業務に即しておらず、現場が回らないという最悪の事態を招きかねません。当社では、社内のコンサルタントが自社の業務をコンサルティング。トライアル&エラーを重ねた経験を含めて、お客様にノウハウを提供しています」

会計と人事、デジタルの専門的知見、そして実践型コンサルティングというアプローチ。これらのうちどれか1つでも欠けると、デジタル活用は失敗しかねない。BBSには、ほかのコンサル会社で一度頓挫したプロジェクトが持ち込まれることも多い。谷渕氏いわく、そうしたケースでよく見かけるパターンがあるという。

「決して、To Beモデルで示される設計図が間違っているわけではありません。ただ、出口の完成図しかない場合が大多数。例えば『仕訳のこの段階で、人事評価のためにこの数字が必要だ』『この段階では経営の意思決定のためにこのデータを整えよう』というように、いつどこで何の計数が必要になるのかという視点が乏しくなりがちです。その結果、実務に落とし込んだときに手作業が発生し、かえって生産性が落ちてしまう。これでは本末転倒です。最初から全体像と実務をよく理解したうえで設計していく必要があります」

まずは自社がサステナビリティー経営を実践

ビジネスブレイン太田昭和 取締役常務執行役員 公認会計士 谷渕 将人氏

BBSはコンサルティングサービスのほか、システム開発、BPO事業なども展開している。顧客から見るとバックオフィス業務に関する支援をすべて通しで受けられる。同社は一連の流れを「BBSサイクル」と名付けているが、谷渕氏は「全体の羅針盤を描くコンサルティングサービスはBBSサイクルの1番バッター。ここでズレが生じると後工程に悪影響が出てしまうので、責任は重い」と語る。

近年、ESG投資が活発になり、企業に非財務情報の開示を求める動きが強まっている。それを受けて、BBSもサービスを非財務領域に広げていく予定だ。例えば非財務情報の1つに、人的資本がある。BBSの実践型コンサルティングはこの分野もカバーしているが、それにはまず自社が働きやすい環境をつくり、人材の価値を伸ばしていかなければならない。一般に激務で知られるコンサル業界だが、BBSはどのような状況なのか。

「確かに、コンサル業界は人材の出入りが激しい傾向にあります。転職という選択肢があることは、個人のキャリア戦略としてはいいことだと思いますが、プロフェッショナルが無理なく働き続けられるサステナブルな環境づくりも同じく重要です。私自身、2016年にBBSに中途入社した身ですが、当時から驚くほど働きやすい職場でした。とくに近年はテレワーク率が8割超と、さらにサステナブルにブラッシュアップされています。メンバーの生産性とウェルビーイングをどう高め、人的資本の向上につなげていくか。まずは、当社自身が範を示したい」と、谷渕氏は期待を寄せる。

幅広い領域で課題解決を支援するBBSのコンサルティングサービス。「会計と人事」というバックオフィス業務の強化に悩む多くの企業にとって、実に心強い存在だろう。

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