55年続くITコンサル企業「システム開発の哲学」 会計データを経営に生かす「経営会計」の実現へ

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コロナ禍で加速したDXのニーズは依然として高い。企業としては、自社の要望を実現できるシステムを開発したいところだ。創業55年の老舗・ビジネスブレイン太田昭和(以下、BBS)は、会計をはじめ幅広い領域で企業のバックオフィス業務を支えてきた。中でも、中核事業の1つであるSI(システムインテグレーション)事業は実績が豊富で、幅広い企業を顧客に持つ。競合ひしめくこの業界で、なぜ長年支持され続けるのか。同社のSI事業を統括する取締役常務執行役員の中村裕仁氏に話を聞いた。

幅広い顧客を持ちながら、業務理解を深める方法

DXが叫ばれるようになって数年が経過した。いっときの勢いは一段落したかと思いきや、現場の感触は異なるようだ。BBSの中村裕仁氏は、「需要は引き続き旺盛」と明かす。

「IT人材の不足やアプリケーションのサポート切れなどに象徴される危機、いわゆる“2025年の崖”が以前から指摘されています。しかし現実には、対応できていない企業は多い。さらに2022年は世界的なインフレが激化し、さまざまな物価が上昇したことで、賃金アップが企業経営における喫緊の課題として浮上しました。従業員の賃金を上げるには、まず業務生産性を高める必要があります。こうしたことからDXの重要性はむしろ高まっており、当社への引き合いも増えています」

ビジネスブレイン太田昭和 取締役常務執行役員の中村裕仁氏
ビジネスブレイン太田昭和 取締役常務執行役員
中村 裕仁

監査法人をルーツに持つBBSは、伝統的に会計システムの開発に強い。企業が厳しい時代を生き抜くには「各種データをリアルタイムで収集して経営の意思決定に活用する『経営会計』が必要」だという独自の理念に大きな特色を持つ。

ただ、手がける領域は会計にとどまらず、基幹システムからフロントのシステムまで広範囲にカバーしている。これは「企業の課題は会計システムだけで解決できるものではありません。お客様の業務全般を理解したうえで、最適なシステムを提案することが不可欠です」(中村氏)と考えているからだ。

一口に業務理解と言っても、顧客企業の業種は多様だ。建設業と自動車業界の業務は、経理業務においても大きく異なる。システム開発を担うSE(システムエンジニア)が、こうしたさまざまな業種の業務を理解、把握するのは容易ではないだろう。

にもかかわらず、なぜBBSのSEは顧客企業に深く入り込むことができるのか。カギを握るのは、顧客の業務を理解して開発を進められるSEが上流工程を担当したコンサルタントと一体になって設計・開発を進めていく開発スタイルだ。中村氏は、自身のかつての経験をこう明かしてくれた。

「あるお客様の開発案件を受注したとき、社内から『本当にやりきれるのか?』と懸念の声が上がりました。特殊な業種のお客様で、その業界に関するノウハウが、当時の当社にはあまり蓄積されていなかったからです。しかし、当社のコンサル部門と一緒に何度もお客様の現場に足を運び、ヒアリングを重ね、時にはお客様と納得できるまで議論し設計・開発を深め、本稼働へ。稼働直前に障害が発生した際も、すぐにお客様と連絡を取り合って対応し、現場の業務に支障を来すことなく安定稼働にこぎ着けました。当社はこうした地道な開発スタイルを背景に、お客様の業種に特有のノウハウを獲得してきました」

BBSは、顧客のビジョンに基づき最適な業務プロセスやシステムの構想を描く「コンサルティング事業」、コンサルタントが設計したシステムを具現化する「SI事業」、そして最適化された業務をアウトソーシングで実行する「BPO事業」という3つの事業が連携する、独自のワンストップサービス「BBSサイクル」で顧客企業をサポートしている。

「パッケージかスクラッチか」は本質的な問題ではない

近年、パッケージでシステムを導入し、業務の標準化を図る企業が少なくない。一方、自社の強みを最大限生かすためにスクラッチのシステムを希望する企業もある。中村氏は、「当社は、パッケージ導入とスクラッチ開発の両方に対応しています。特定の商品やソリューションに縛られず、あくまでもお客様にとって最適なシステムかどうかという観点で提案するのが最重要です」と語る。

幅広いソリューションを用意しているBBS。1つのツールに特化したSIerと比べ、精通の度合いで劣るのではないかという懸念は不要だ。BBSは複数の製品ベンダーからエクセレントパートナー賞を獲得。各パッケージに関する知識を豊富に持ち合わせている。

一方、スクラッチ開発の実力はどうか。一般的にスクラッチはパッケージに比べてシステム構築に時間がかかるため、ベンダーの底力が試される。

ビジネスブレイン太田昭和 取締役常務執行役員の中村裕仁氏

「当社には、顧客に合ったシステムを短期間で開発するための独自のノウハウがあります。具体的には『MBB(Method of Building Block)』という独自のローコード開発ツール(プログラミングコードをほとんど記述せずにシステム開発を行うツール)を活用して、スピーディーなシステム開発を実現しています。当社がMBBの開発に着手したのは、ローコード開発という言葉がまだ世に知られていなかった2000年代前半。当社が長年、効率的なシステム開発に注力してきたことをおわかりいただけると思います」

30年、顧客から指名が入り続ける理由

システム開発をするなら、自社のビジネスをよく理解してくれるベンダー、長く付き合えるベンダーを見つけたい。DX推進に当たり、そう考える企業は多いだろう。

「当社の『BBSサイクル』に乗り、20〜30年の長きにわたって継続いただいているお客様も多くいます。また、システム構築を支援したお客様から、『社員へのセキュリティー教育サービスも依頼したい』『BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)で経理業務を任せたい』など、当社グループ各社も含めたご要望をいただくことも珍しくありません。長きにわたってお付き合いいただくお客様が多いことも、当社の特徴の1つといえます」

BBSサイクル

BBSはなぜ、このような厚い信頼を勝ち取っているのか。

「どれだけノウハウがあるベンダーでも、必ずしも順調にシステム開発を進められるとは限りません。システム構築後、顧客の中に新たな課題が見つかり、その解決のために再度の開発が必要になるケースもあります。そうした際に求められるのは、臨機応変な対応力。必ず顧客企業に安心していただけるよう、すべてのSEを教育しています」

そう語る中村氏には、真摯に顧客と向き合って対応することで、信頼を勝ち得てきたという自負があふれる。

「当社が提唱する『経営会計』は、ただコンサルティングやシステムを構築しただけで実現できるものではありません。開発した単年で評価すること自体も困難で、試行錯誤しながら時間をかけていいシステムをつくり上げていく覚悟が、顧客企業にもベンダーにも求められます。当社はコンサルだけで終わらせることなく、業務とシステム、両輪でのノウハウを十分に持ち合わせていますので、ぜひ『経営会計』を実現する支援ができればと思います」

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