中国共産党の習3期目突入と新指導部7人の横顔 最大の昇進基準は習総書記への忠誠心か⁉

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共産党指導部の新たな6人

李強氏(63)

上海市トップの党委員会書記として、約2カ月に及ぶ新型コロナウイルス対策のロックダウン(都市封鎖)を指揮し、混乱を招いていた李強氏が政治局常務委員に上り詰めた。最大の昇格基準が習氏への忠誠心であることを証明した。李氏は習総書記の浙江省トップ時代に秘書長を務め、5年前の党大会を経て上海市党委書記に就いていた。

上海市トップは朱鎔基元首相だけでなく、習氏も経験したポストで、このポストを経験して政治局常務委入りを逃したのは1987年以降で1人しかいない。李強氏は今年6月、コロナから上海を防衛したとして勝利を宣言。多数の市民の外出を禁じ、散発的な混乱も招いたロックダウンは完全に正しかったと振り返り、「習近平総書記の重要指示」を称賛していた。

  • 予想されるポスト:李克強首相の来年3月退任後、次期首相が濃厚

趙楽際氏(65)

趙楽際氏は党中央規律検査委員会書記として、この5年にわたり習氏の政治的ライバルを追放する反腐敗の取り組みを主導。規律検査委書記の前は党中央組織部長を務め、習総書記の側近を昇格させることに貢献した。北西部の青海省で約30年を過ごした趙氏は出世を重ね、当時中国最年少の省トップに上り詰めた後、5年前の党大会を経て常務委入りした。

  • 予想されるポスト:全国人民代表大会(全人代、国会に相当)常務委員長

王滬寧氏(67)

権力闘争などが繰り広げられる党内で、王滬寧氏は巧みに指導部内にとどまる数少ない一人だ。復旦大学の法学院長を務めた経験もある王氏は、党内屈指の理論家で、これまで国家主席3人の目玉となるスローガンを考案した。

  • 予想されるポスト:国政助言機関である人民政治協商会議主席

蔡奇氏(66)

蔡奇氏は浙江、福建両省で習氏と共に勤務した経験があり、習総書記の下で急速に出世。一気に政治局員に上り詰め、2017年に北京市党委書記に就いていた。中国初の冬季五輪を北京市トップとして迎え、金メダル数は中国として冬季五輪過去最多となった。蔡氏は現在66歳で、政治局常務委員を務めるのは1期のみとなる可能性がある。

  • 新ポスト:党中央書記処書記

丁薛祥氏(60)

大半の政治局常務委員とは異なり、丁薛祥氏は地方のトップを務めた経験がない。習総書記の国内視察などでは、党中央弁公庁主任として同行する場面が多く、習氏の今年夏の香港訪問時にも姿があった。江蘇省出身で、5年前の党大会で中央候補委員から一気に政治局入りしていた。

  • 予想されるポスト:筆頭副首相

李希氏(66)

香港紙・明報によると、李希氏は習総書記とは1980年代からの知り合い。広東省トップに就く前は遼寧省トップの党委書記を務めていた。5年前の第19回党大会を経て政治局入り。李氏は現在66歳で、政治局常務委員を務めるのは1期限りとなる可能性もある。

  • 新ポスト:党中央規律検査委員会書記

原題:The Seven Men Who Will Lead China Into Xi’s Third Term (1)(抜粋)

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著者:Zibang Xiao、Sarah Zheng、Krystal Chia

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