ひろゆき発言で物議「辺野古座り込み」本当の実態 3年前と変わらない景色、住民の本音とは?
と、そこへ急激に訪れる違和感。数百メートルは道沿いにシートの屋根が続いて、人の居られる空間はできているはずなのに、そこに誰もいないのだ。手製の簡易ベンチも並んでいる。グループごとに仕切られているのか、それぞれのシート屋根の下には、それぞれの抗議表明のプラカードや旗が置かれているが、ところが人影がまったく見当たらないのだ。
まるで、さっきまでの大人数が突然蒸発してしまったのか、あるいは夏の去った海の家のような光景だった。拍子抜け、というより、期待を裏切られた思いだった。
勝手にこちらが抱いた期待だったといえばそれまでだが、もぬけの殻の抗議現場の前に「新基地断念まで座り込み抗議 不屈1811日」という日数を記録した掲示版とのコントラストは、やはり違和感は拭えなかった。
しかもシートテントが続く端のキャンプ・シュワブのゲート前に置かれた、もうひとつの抗議日数を示す掲示版には、黄色字で「24時間監視中」とまで書かれていて、それは明らかに事実と異なっていた。
抗議活動には休みの日もある
抗議活動を行う彼らのいう「座り込み」とは、午前9時と正午、それに午後の3時に、キャンプ・シュワブのゲートとは別に道路沿いに設置された搬入口から、埋め立ての土砂が運び込まれる。その時間になると、その搬入口の前に「座り込む」ことをいった。しかも当時は、バスで乗り込む団体もいた。
そのことを基地側もわかっているから、定刻前になるとパトカーが先導して土砂を運ぶダンプカーが一列に隊列を組んでやってきて、車道脇に待機する。そして1日3回の定刻になると、機動隊や民間の警備会社の人たちが、座り込んだ人たちを排除する。と、いうよりも、どいてもらう。それから搬入口のフェンスが開くと、1列に並んでいたダンプカーがいっせいに基地内に流れ込む。それが繰り返される。
しかも、私が訪れたこの日は6月21日。沖縄慰霊の日を2日後に控えた金曜日だった。その記念式典に出席するため、安倍晋三首相(当時)が那覇にやってくる。その警備に、普段はここで抗議活動に対処する機動隊員も、那覇に動員されていなかった。だから、土砂の搬入活動も中止。それを知っているから、この日の抗議活動も取り止め。午後の3時になっても、誰も集まらなかった。
つまり、土砂の搬入のない日、工事のない土曜日、日曜日は抗議活動もお休みになる。
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