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過ぎ去った「古きよき日々」と「大物次官」の死 「財政再建という錦の御旗」は否定される一方

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  • 軽部 謙介 帝京大学教授・ジャーナリスト

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予算編成に向けての主計官会議であいさつする吉野良彦主計局長(左端)=大蔵省で(1985年7月)(写真:毎日新聞社/アフロ)

通信社時代の個人的な思い出話をお許しいただきたい。

初めて大蔵省(現財務省)を担当した三十数年前、「次官会見・懇談」という名前のメディア対応が定期的にセットされていた。前半はオンレコ、後半は「大蔵省首脳」の発言として記事化可能という仕分けだ。

事務次官応接室は広くない。ソファセットに次官とマスコミ各社のベテランが座る。その周りで中堅が立ったままメモを取る。私のような末端記者はその後ろだ。

記憶はあいまいだが、こんなやり取りが展開されたと思う。

「次官、国会で野党がこんなことを言っていますがどうですか」

「ほほお、そうですか」

「予算関連法案の成立に影響が出るんじゃないですか」

「いやあ、いいことを教えていただいた」

とっくに情報は入っているはずなのに、糠(ぬか)に釘、暖簾(のれん)に腕押し。

何か言えば自分の名前が出る「会見」であるため慎重になるのはわかる。幹事が切り替える。

「今から懇談です。次官、さっきの野党の動きを本当はどうみているんですか」

「いやあ、どうですかなあ」

「どう考えても法案審議に影響はありますよね」

「さあ、わかりませんなあ」

何を質問されても、どのように聞かれても、この事務次官からニュースになるような回答が出てきた記憶がない。

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