異業種の転職者が語る「コンサル会社で働く魅力」 BPOビジネスの「最前線」で活躍する社員たち
異業種からコンサルティング会社へ転職した理由
――SD職とは、どのような仕事ですか。
千葉 オペレーションズ コンサルティング本部では企業や官公庁の経理や人事などの業務を、お客様に代わって日々遂行するBPOを提供しています。私たちサービスイノベーショングループのSD職は、そういったBPOプロジェクトの現場監督のような役割でチーム全体のマネジメントを行います。
袴田 私と千葉はある自治体のプロジェクトを担当しており、職員の方の勤怠や手当申請システムの管理、出張旅費の精算などさまざまな業務をBPOとして請け負っています。このプロジェクトは、業務別に4つのチームから構成されていて、実際の業務を行うオペレーターは全体で40人ほど所属しています。それらのチームをSD職の5人でマネジメントしています。
千葉 アクセンチュアの特長は、依頼された業務を単に遂行するのではなく、デジタルも活用して業務の効率化や品質向上に取り組むことです。プロジェクトの立ち上げ時は、業務改革の計画や業務の再設計などをメインに行う同本部のトランスフォーメーショングループと連携し、業務改革における上流工程やデジタルに強いメンバーと共に、業務プロセスの最適化を図ります。
また、運用の段階に入ると、SD職が中心になってオペレーターと共に効率化されたBPOの遂行や業務の効果測定をしながら改善提案します。
――2人は異業種からの転職ということですが、なぜアクセンチュアへの転職を決められたのですか。また、コンサルティング会社への転職に不安はありませんでしたか。
千葉 私はもともとSIerで社内の業務プロセス改善を中心とした仕事をしていました。8年間ほど在籍し、仕事としては充実した日々を過ごしていました。ただ、勤め先は従業員が500人ほどで、その規模の会社で経験できることはほぼやりきったと感じ、より大きなステージにチャレンジしたいと考え、アクセンチュアに転職しました。
正直、不安はありましたね。前職で業務改善をやっていたのでコンサル的な仕事そのものに不安はなかったのですが、アクセンチュアはハイスキルな人が集まっている印象だったので、自分がついていけるのかなと。
実際に入社してみると、苦労したのはハイスキルよりハイスピードでした。体感では、前職の3倍くらいのスピード感で物事が進んでいきます。それに慣れるまで私の場合は、数カ月かかった気がします。
袴田 私は造船メーカーで人事を担当していました。新卒から5年勤めたうち、最初の3年は給与計算や社会保険手続きなどバックオフィス業務を行い、残りの2年は採用や教育担当になりました。転職を考えたのは、4年目に業界再編で他社と一緒になり、そのメーカーでの働き方に疑問を感じて退社を決意しました。
最初はメーカーでの人事を探していましたが、転職エージェントから「人事の業務知識を活かせる」とアクセンチュアのオペレーションズ コンサルティング本部を紹介されて、転職を決めました。
入社の際に懸念していたのは英語ですね。アクセンチュアは英語を使うと聞いたので、すごく心配でした(笑)。入社してみると、社内のメールやトレーニングなどは英語を使ったものもありますが、日本語訳が入っていることも多いので、そこまで心配する必要はありませんでした。
また実際の業務では、グループや職種、プロジェクトによって必要な英語レベルは違うかと思いますが、私の場合はお客様が日本人なので、プロジェクト内で英語を使う場面がそこまでありませんでした。国内のプロジェクトであれば、基本的には日本語でのやり取りがベースになると思います。
ただ、アクセンチュアはグローバル企業ということもあり、英語ができることで携われるプロジェクトや入手できる情報が増えるので、英語は入社後に少しずつでも身に付けたほうがいいと思います。
「自分のスキルが通用すること」が自信につながった
――前職の経験は今どのように活かされていますか。
千葉 データを使って業務改善をするスキルはアクセンチュアでも活きました。具体的には、経費の支払い処理業務を見直すとき、請求パターンごとに処理にかかる時間を測定・データ化し、時間のかかる確認項目を明らかにして、最適な処理方法に変えるといった効率化を徹底的に実施しました。このようにデータを使って分析するアプローチは前職と変わらず、知見を活かすことができました。
袴田 前職での給与計算や社会保険の専門知識が役に立っています。例えば私たちが手当を承認するオペレーションを代行した後、お客様のほうでデータを給与計算システムに取り込んで計算を行う業務プロセスがあります。
私は前職で給与計算業務を一通り経験していたので、私たちの手当承認業務からお客様の給与計算業務への引き継ぎプロセスにおいて、引き継ぎ先のお客様目線に立った効率のよい提案や調整ができました。
社会保険や給与計算業務に関しては、お客様との会話の中でBPOとして担当していない領域に話が及んだ場合でも、初耳の単語に出合うことがなくコミュニケーションが取れることは自分の強みだと思っています。
――アクセンチュアに転職してよかったことを教えてください。
千葉 お客様から感謝の言葉を直接いただけることでしょうか。前職は同じ業務改善でも社内の中で業務が完結していたので、必ずしも感謝されるわけではありませんでした(笑)。
また、前職では自分のスキルが社内でしか通用しないのではないかと不安でしたが、お客様が社外になった今も成果を残せています。自分のスキルがオープンなマーケットでも通用すると確認できたことは自信になりました。
袴田 私の場合は、自分自身の成長を感じられることですね。入社9年目でも大変と感じることはありますが、仕事を処理するスピードが上がり、入社当時と比較してできることが確実に増えました。
SD職は、パズルを解くような仕事です。例えば納期までに2000件の処理をしなければいけないとき、処理1件に何分かかるのか、オペレーターは何人必要で、利用可能なパソコンは何台あるのか。
それらのピースがぴったりはまるように計画やマネジメントをする必要があります。初めは難しかったのですが、それらがうまくできるようになったときは、自分の成長を実感できました。
「聞く力」がある人が向いている
――今後の目標を教えてください。
千葉 転職して7年経ちますが、SD職における仕事の勘所はつかめてきたので、次のステップとして、よりコンサル色が強い、業務の改革・再設計を主に担当するトランスフォーメーション業務にも携わりたいと考えています。
袴田 現在、子育てのために時短勤務中で、定時より2時間早く終業しています。アクセンチュアはリモートワークが浸透していて育児をしながらでも働きやすい会社ですが、SD職はクライアント先に常駐することも多く、まだまだ時短勤務者は少ない傾向にあります。
今は周りからのサポートを受けつつですが、SD職として時短勤務でもしっかり責任を果たせることを証明して、後に続く人に道筋を示せたらと思います。
――SD職が向いていると思うのはどのような方でしょうか。また、転職に興味を持つ方へメッセージをお願いします。
千葉 SD職への転職者は、大きく2つに分かれます。1つは人事、経理などの管理部門での業務経験がある人。もう1つはBPOなどでチームをマネジメントした経験のある人です。どちらにしてもアクセンチュア社員同士やお客様問わず、さまざまな人を気持ちよく動かす日々のコミュニケーションがプロジェクト全体やチームメンバーのパフォーマンスを左右します。
逆に言えば、そういった点を押さえていれば、異業種からの転職でも挑戦できる仕事ですので、多種多様なバックグラウンドの方と一緒に働けることを楽しみにしています。
袴田 この仕事はとにかく人と話すことが多いので、私もコミュニケーションに長けた人に向いていると思います。ただし、多くの人と関わりながらスムーズに仕事を進めるには、話し上手というより「聞く力」のほうが重要かもしれません。
私はメーカーからの転職で、自分の中ではアクセンチュアへの入社は大きなチャレンジでした。最初は苦労することもありましたが、そんなときは先輩社員の方々に引っ張っていただき、コンサル未経験ながらも仕事を続けることができました。なので、前職の経験を活かしつつ、お客様の業務改革を実現したいという意欲がある方は、臆せずに飛び込んでみてもいいのではないでしょうか。