「薬の安全を守る」情熱がコンサルで生きる理由 テクノロジーで「激動の製薬業界」どう支える
製薬会社を取り巻く環境は「激動」
――アクセンチュアのオペレーションズ コンサルティング本部は製薬・ライフサイエンス業界でどのような役割を担っているのでしょうか。
河上 製薬会社は医薬品を研究開発して製造販売しますが、それと同じくらい重要な業務が医薬品安全性情報管理:ファーマコビジランス(以下、PV)です。医薬品には効果がある反面、副作用の発現に注意する必要があります。
そこで製薬会社は自社で開発・販売している医薬品の副作用などの情報を病院や患者、薬剤師などから収集・評価して、規制当局に報告し、必要な安全対策を実施する義務を負っています。そのPV業務の一部である副作用症例処理業務を改善・効率化した上で、BPOとして引き受けているのがアクセンチュアのオペレーションズ コンサルティング本部です。
製薬に関連した知識やスキルのあるメンバー、看護師や薬剤師などの医療資格を持つメンバーを揃えているため、専門的な業務を引き受けることができています。
――製薬業界を取り巻く環境はどのように変化していますか。
河上 製薬会社が置かれている状況は、必ずしも楽観視できるものではありません。社会保険料の増大を受けて薬価の引き下げが続いているため、製薬会社の収益にも影響を与えております。
一方、会社を成長させていくためには、新たな医薬品の開発は必須ですが、医薬品開発には膨大な費用がかかります。また、副作用の安全性を適切に監視するためにもコストは発生しますが、そのコストを適切に管理することも製薬企業内では求められています。
今回の新型コロナウイルス流行に伴い、コロナワクチンに関連したPVの業務量は急激に増加しました。あるお客様のケースですと、業務量が一時的に10倍に増えた例もあります。
製薬会社が、自社だけでこのような突発的な業務に対応するリソースを用意するのは決して容易ではありません。一方、我々は複数社のプロジェクトを受託しているため、一定のリソースは確保しており、IT技術の活用などによる効率化をご提案することもできます。
そのため、リソース確保やコスト削減の観点からもBPOのニーズは高まっており、私たちにお声がかかる機会も増えてきました。
「人一倍、薬の安全性への思いが強かった」
――製薬会社から転職してきた佐脇さんは、なぜコンサル業界に興味を持ったのでしょうか。
佐脇 私は薬科系の大学院を修了後、外資系製薬会社に就職しました。もともと臨床開発業務に従事したいと思っていましたが、就職活動で情報収集するうちに興味を引かれたのがPV業務でした。過去に起こった薬害事件からも、薬の安全性を管理する仕事は、とても重要かつ意義のある仕事だと考え、PV業務に携わることに決めました。
その後2回の転職を経て、計3社の製薬会社でPV業務を経験しました。3社目の会社で、PV BPO業務を担当していたのがアクセンチュアでした。私はPV業務の実施のみならず、その業務プロセスの改善にも興味があり、これまでもプロセス改善を実施してきました。3社目で出合ったアクセンチュアの業務改善提案は、データ分析に基づき説得力があるのと同時に、IT技術を活用した革新的なものでもあったため、大変魅力的でした。
「今後はPV業務にAIやRPAを活用できないか」と考えていましたが、私自身を含め、社内には経験やスキルがなかったため、自動化を実現することができませんでした。一方、アクセンチュアはIT活用の専門部門も備えており、プロセス改善の実現とともにPV業務へ一部自動化導入も実現してくれました。
「薬の安全性を守りたい」という思いは人一倍強かったのですが、それを達成するためには製薬会社で働くよりも、複数社への提案ができるコンサルという立場のほうが、より貢献できるのではないか。またアクセンチュアのノウハウや知見を活用することで、各社に革新的な提案ができるのではないか――。そう考え、アクセンチュアへの転職を決めました。
――転職に当たって、不安や葛藤はありましたか?
佐脇 これまで培った製薬会社での経験や業務知識は、私の強みだと自負していました。コンサルタントとしての経験やITに関する知識がないことは不安でしたが、それに関してはOJTや各種トレーニングの体制が整っていること、また社内に様々な専門家がいるので、必ずしも自分がすべての分野においてスペシャリストである必要はないと聞き、それなら挑戦できると思いました。
転職して感じたのは、知識やスキルよりスピード感の違いでした。経験上、「2~3日以内に実施すればいいか」と思った仕事が、アクセンチュアだと「1日で」、時には「1時間で」と言われることもありました(笑)。最初は戸惑う部分もありましたが、今ではそのスピード感にも慣れてきました。
――現在、どのようなお仕事に取り組んでいますか。
佐脇 製薬会社2社のプロジェクトでプロジェクトマネジャーを務め、メンバーやファイナンスの管理、お客様への提案などを行っています。先日、あるお客様との会議があり、「パフォーマンスにとても満足している」とのコメントをいただきました。生産性向上やコスト削減を達成することにはやりがいを感じますが、お客様から感謝のお言葉をいただくことが、何よりもモチベーション向上につながります。
これからのリーダーに求められる「多様性の理解」
――アクセンチュアのオペレーションズ コンサルティング本部で働く醍醐味はどこにありますか。
河上 1つはアクセンチュアがコアバリューとする「ワン・グローバル・ネットワーク」がもたらすダイナミックさです。これは「世界中どのクライアントに対しても最高のサービスを提供するために、国際的な見識、関係、連携、知識を効果的に活用しよう」というもの。
グローバル展開する製薬会社は、世界から情報を集めて規制当局に報告する必要があります。各市場のPV業務が分断されていると非効率ですが、世界中に拠点を持つ私たちは「ワン・グローバル」で対応可能。世界を巻き込んだダイナミックな提案ができるのも、アクセンチュアならではでしょう。
佐脇 アクセンチュアは、プロジェクトベースで仕事が進むことも特徴です。プロジェクトが1つの事業体のような形で動くため、マネジャーは実質的に経営者に近い役割です。より大きな意思決定ができる経験を積めることはありがたいです。
河上 BPOは型の決まったサービスを提供するだけだと思われがちですが、アクセンチュアは「緊急でコロナ関連の対応が必要」「コスト削減したい」「中国市場に対応したい」など、お客様によって異なる背景を理解した上で提案をしています。私たちは中国、インド、米国、欧州などにいる仲間とコミュニケーションを取りながら仕事をしています。それぞれの文化背景を理解しないと、チームとしてパフォーマンスは発揮できません。そうした多様性に触れ理解する力を磨くのに、アクセンチュアは理想的な環境だと思っています。
――最後に、転職に興味を持つ方へメッセージをお願いします。
佐脇 「製薬業界をより良くしていきたい・変えたい」と思っている志の高い方とぜひ一緒に働きたいです。コンサルティング未経験でも、各種トレーニングやOJTで経験を積むことができるので、意欲があれば心配はないです。
河上 今コンサルティング会社で働いていて製薬業界に興味がある方はもちろん、CRO(医薬品開発業務受託機関)で働いている方、製薬会社でPVやR&D(研究開発)に携わっている方、大学でライフサイエンスに関する研究をしている方、薬剤師、医師、看護師……。いずれにしても、製薬・ライフサイエンス業界の発展に貢献したいと考えている方は大歓迎なので、ぜひチャレンジしてほしいです。
2021年9月7日(火)19:00〜20:30
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