三菱自動車、新型セダンの展開に誤算 ルノー・日産連合との協業拡大が一部とん挫

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開発リソースが限られている三菱自動車は、「アウトランダーPHEV」に象徴されるように、SUV(スポーツ多目的車)や電動車両の拡大に経営資源を集中させている。そうした中、ボリュームを見込めるセダンを求めるディーラーの声に応えるためには、他社の力を借りるしかなかった。

ルノー・日産連合との協業拡大を通してセダンの供給を受けられるのは、三菱自動車にとって渡りに船であったはず。ルノーにしても、三菱向けの車両を生産することで工場の稼働率を高められるだけに、両者にとってメリットがあるプロジェクトだった。

プロジェクトの検討中止について、三菱自動車は「両社にとってウィン・ウィンになるよう事業化調査を進めてきたが、費用や為替を含め、当初見込んでいたほど効率的にできなくなったため」と説明するのみ。日産自動車は「ルノーの案件なのでコメントする立場にはない」としている。

ほかの協業案件は「これまで通り」

三菱自動車はセダンの”穴”をどう埋めるか?写真は昨年10月に中間決算会見を行った益子修会長(写真右)と相川哲郎社長

ルノー本社の広報担当者に問い合わせると「われわれは多くのメーカーとさまざまな検討をしている。事業化に向けて進展することもあれば、そうでないものもある。中止になったこと自体は重要な問題ではない。ただ、検討中止の具体的な理由についてコメントすることはない」と、詳細は明らかでない。

小型車のグローバル展開や電気自動車技術の共用といった、ルノー・日産連合とのほかの協業案件については「これまで通り進めていく」(三菱自動車)としている。いずれにしても、プロジェクトの3本柱のうちの1つがなくなったことで、両者の協業関係の行方に一層注目が集まりそうだ。

(撮影:今井康一)

中川 雅博 東洋経済 記者

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なかがわ まさひろ / Masahiro Nakagawa

神奈川県生まれ。東京外国語大学外国語学部英語専攻卒。在学中にアメリカ・カリフォルニア大学サンディエゴ校に留学。2012年、東洋経済新報社入社。担当領域はIT・ネット、広告、スタートアップ。グーグルやアマゾン、マイクロソフトなど海外企業も取材。これまでの担当業界は航空、自動車、ロボット、工作機械など。長めの休暇が取れるたびに、友人が住む海外の国を旅するのが趣味。宇多田ヒカルの音楽をこよなく愛する。

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