実家という“負動産”
空き家増殖のメカニズム
東京都中野区に住む近藤悟さん(仮名、50代)。80代の両親は国立市に住んでいた。母が亡くなった後、実家の片付けを始める。が、母の遺品を残したい父と口論になり、作業は進まない。いずれ父は介護施設に入るだろう。そうなれば、空き家となってしまう。どうすべきか──。
空き家の数が年々積み上がっている。5年ごとの総務省「住宅・土地統計調査」によると、2018年実績の「空き家数」は849万戸。30年前、1988年は394万戸だったので、倍以上に増えた。空き家数を総住宅数で割った「空き家率」は13.6%で、今や7戸に1戸が空き家である。

野村総合研究所は38年の空き家数を2つのシナリオで予想する。①は15年の空き家対策特別措置法施行後、空き家の取り壊しが進み、除却率は83.2%、②は除却率が施行前の30.3%でとどまる前提だ。「①では空き家数が1356万戸、②では2254万戸に拡大する見込み」(大道亮・上級コンサルタント)で、後者なら3戸に1戸が空き家になる。
問題化しているのは、売却用にも賃貸用にも使えない「その他の空き家」だ。空き家所有者は60歳以上が8割弱を占める。高齢の親が実家から老人ホームへ移る、子が実家を相続しても住まない、などが空き家発生の背景となっている。

とくに人口流出が進む地方は厳しい。全国の空き家率ランキングでは、1位が山梨県、2位和歌山県、3位長野県。甲信越や四国が多い。地域によっては土地・建物の取引が少なく、不動産業者も仲介手数料の安い空き家の売買には積極的でない。

空き家を長期間放っておけば、近隣にも迷惑だ。草木は伸び、害虫が発生。災害で建物が倒れる可能性もある。
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