コロナ禍が広がる昨年3月以前、厚生労働省や医療界にとって、諸外国と比べ多すぎる病院をどう整理するかが大きな課題だった。厚労省は患者が減少する2025年の人口動態に合わせ、「地域医療構想」の下で急性期病床を減らす方針だった。再編の議論を一気に加速するため、厚労省は19年9月、再編や統合が必要だと判断した424の公立・公的病院の名前を公表した。
ところが感染拡大で、コロナ患者が入院する病床が足りなくなる事態になった。再編を迫られていた病院のうち、多くがコロナ患者を受け入れた。その中には感染症病床を有する感染症指定医療機関も含まれる。地域医療構想では病院再編の指標として感染症対策が入っておらず、感染症への備えが脆弱であることが露呈した。
「コロナによって病院再編の悩みが増えた」と話すのは、厚労省の地域医療構想に関するワーキンググループメンバーで、奈良県立医科大学の今村知明教授だ。
「病床に余力があることと、病床利用を効率化する地域医療構想とは矛盾する。平時の医療体制は高齢者の増加に合わせて病床を高齢者向けに整備する必要があるが、それでは有事に感染症に対応する余力がなくなる」(今村氏)

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現状の医療体制では次のパンデミックへの対応は困難だ。コロナが浮き彫りにした医療体制の弱点は、①日本は人口当たりの病床数はOECD(経済協力開発機構)加盟国でトップクラスだが医師数は少ない、②コロナ対応が難しい小規模病院が多い、③重症度や回復度に応じた病院の役割分担が明確でない、ことだ。
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