過去に何度も見てきた光景がまた繰り返されている。
三菱電機で鉄道車両用の空調装置や空気圧縮機の30年以上にわたる検査不正が発覚し、杉山武史社長が辞任を表明した。
神戸製鋼所でアルミや銅製品の品質データ改ざんが発覚したのは2017年。それ以降、グループ会社を含めると三菱マテリアル、東レ、日立製作所などそうそうたる大企業で品質検査に関わる不正が見つかっている。あまりにも多すぎるせいか、最近は大きく報じられることもなくなっていた。しかし、三菱電機は厳しい批判にさらされている。
同社ではここ数年パワー半導体など複数製品で検査不正が発覚しており、全社的な品質保証体制の点検を3度も行っていたが、今回の問題は見つけられなかった。6月半ばに不正を認識し顧客や経済産業省に説明を開始していたのに、6月29日の株主総会ではいっさい説明しなかった。記者会見で社長が「総会前日に取締役会に諮った」と説明したものを、実際には取締役会は開かれていなかったと訂正している。
加えて、三菱電機では近年、サイバー攻撃による情報流出やパワハラによる従業員の自殺なども起きている。そうした際も公表が遅く、経営陣に問題を矮小化するような言動が目立っていた。つまり、検査不正の内容そのものよりも、次々と不祥事が起きる体質が批判を招く原因となっている。
しかし、騒がれなかった他社事例と比べて、検査不正の中身が極めて悪質だったとはいえないと筆者は考えている。もちろん、架空データを生成するプログラムを作っていたことに言い訳の余地はない。一方、顧客との取り決めと異なる方法ではあっても一定の検査は行っていた。30年以上不正が続いても深刻なトラブルは起きていない。「安全性に問題はない」という会社の主張も、印象は悪いが、間違ってはいないのだろう。
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