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疾病予防や医療費削減に「健康シグナル」は有効か 「メタボ健診」後の保健指導などの効果を分析

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  • 飯塚 敏晃 東京大学大学院 経済学研究科教授

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近年、メタボ健診や職場健診に加えてウェアラブルデバイスが急速に普及するなど、自らの健康状態の把握が格段に容易になっている。これによって、生活習慣改善と疾病予防がなされ、さらには医療費が削減されるのではないかと期待されているが、そのような未来は訪れるのだろうか。

わが国では、2008年に特定健康診査、いわゆる「メタボ健診」が始まった。内臓肥満の予防を目的とし、40歳以上75歳未満の全員が受診を義務づけられている。腹囲が男性85センチメートル、女性90センチメートルを上回り、血糖値、血圧、コレステロール値のいずれかが基準値を超えている場合、生活習慣の改善に向けた特定保健指導の対象となる。

この指導対象となることで翌年の健康指標は改善されるのか。筆者らは、ある健康保険組合の協力を得て、男性約7.5万人の健診データ4年間分を分析した。

分析では、腹囲の基準値を「ギリギリ上回った人」と「ギリギリ下回った人」とでは、保健指導の対象となる確率が大きく異なることを利用した。一方、各人の健康状態やそのほかの要因は、腹囲85センチメートル前後でとくに大きな変化はなく連続的に変化する、と考えられる。よって、もし健診後の健康指標が健診受診時の腹囲85センチメートルを境に大きく異なれば、保健指導の効果があったと推論できる。

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