「It's the economy, stupid」(経済こそが重要なのだ、愚か者)。1992年米大統領選挙で当選したクリントン元大統領陣営のスローガンの1つだった。
1月5日から開催された北朝鮮の朝鮮労働党第8回大会で、最高指導者の金正恩(キムジョンウン)委員長の脳裏には、この言葉が浮かんでいたかもしれない。
今回の党大会について、「北朝鮮は核武力・軍事強国をさらに目指す」と解説する専門家が多い。確かに金委員長は「超大型水爆の開発が完成」「ICBM(大陸間弾道ミサイル)火星砲の試験発射に成功」などと、兵器名に言及して軍事力を誇らしげに語った。さらに、「核兵器の小型・軽量化、戦術兵器化」「極超音速弾頭の開発」「ICBM向け固形燃料の開発」など、具体的な開発目標をもアピールした。
しかし、これらは2012年の金正恩政権発足以降、つねにその解決を叫び、完成を誇示してきたものばかりで、目新しさがない。軍事開発目標としては既定路線のものをもう少し具体的に述べただけだ。
制裁・コロナ禍・水害
今回の党大会の真の目的は、北朝鮮の経済回復に道筋をつけること、そしてそのための朝鮮労働党の組織改編だった。経済制裁やコロナ禍、昨年発生した水害という三重苦に北朝鮮はあえいでいる。
金委員長は大会開幕の辞で「16年からの国家経済発展5カ年戦略の目標はすべての部門で大幅に未達」と、失敗を認めた。さらに「党中央委員会活動総括報告」の内容を見ると、「新たな5カ年計画期間に人民の食住衣問題の解決でなんとしても突破口を開く」などといった経済分野に関する言及が報告の半分を占めている。それに対して、軍事分野は10%以下だ。
また、党大会参加者5000人のうち、軍人は408人と全体の約8%。一方、経済行政関係者や勤労団体、企業や工場などの現場党員は計2300人と、46%を占める。前回16年の第7回党大会では軍人は719人、経済関係者らは計1261人で、後者はほぼ倍増している。それだけ経済の実務面を重視した党大会だったといえる。
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