米国でバイデン氏の次期大統領就任とともに、民主党が上下両院の過半数を握ることが確定した。新政権の掲げる大規模な環境・インフラ投資の実現性が高まったとして、NYダウ平均株価は7日、3万1000ドルを超えた。
一方で、6日にはトランプ大統領の支持者たちが連邦議会議事堂に乱入する事件が起き、米国社会の分断を見せつけた。政治的・宗教的な信条の違い、人種偏見も深刻だが、背景には「ラストベルト」(さび付いた工業地帯)に象徴される所得格差の拡大がある。
バイデン氏の公約には10年で6〜8兆ドルもの歳出と同時に、3〜4兆ドルの増税も見込まれる。富裕層の所得税・遺産税や法人税の税率を引き上げる。財源確保だけでなく格差是正という狙いもある。
資源配分に大きな歪み
先進国全般で格差は拡大してきたが、米国は突出している。主因は上位1%の富裕層だ。株式など金融資産が生む資本所得への課税を免れ、かつ、極端に低い法人税率の恩恵を受けている。
サエズとズックマンによる著書『つくられた格差』によれば、先に租税回避の拡大があって、政府は徴税を諦めてしまったという。レーガン政権は1986年の富裕層減税によって税の累進性を一気に壊したのみならず、新自由主義的な発想で租税回避を肯定する姿勢に転じ、代々の政権が抑え込んできた租税回避産業、つまり財務コンサルタント、会計事務所などの成長を許し、租税回避行為のビッグバンが起きたと指摘している。
国際企業による租税回避地の活発な利用が、欧州や日本にも「法人税の引き下げ競争」という形で波及したのは周知のとおり。安倍政権下でも法人税減税が行われた。企業の誘致ないしは引き留めのためのいわゆる「底辺への競争」だ。
基本に戻れば、貯蓄性向の高い富裕層よりも消費性向の高い低所得層に再分配したほうが経済にはプラス。だが、優遇された富裕層や大企業が投資を拡大すればその恩恵が低所得層にも及ぶ、というトリクルダウン論がまかり通ってきた。実際は、投資は外へ逃げ、製造業より金融業、ITが隆盛となったことで投資や雇用への効果も低かった。歪んだ税率により富裕層は雪だるま式に富を増やし、低所得層はますます貧しくなった。
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